研究者業績

菊池 次郎

キクチ ジロウ  (Jiro Kikuchi)

基本情報

所属
自治医科大学 分子病態治療研究センター 領域融合治療研究部 准教授
学位
医学博士(自治医科大学)

J-GLOBAL ID
201401084114006952
researchmap会員ID
B000237863

外部リンク

論文

 89
  • Jiro Kikuchi, Mitsuo Hori, Naoki Osada, Sae Matsuoka, Atsushi Suzuki, Satoshi Kakugawa, Hiroshi Yasui, Takeshi Harada, Hirofumi Tenshin, Masahiro Abe, Hideki Nakasone, Yusuke Furukawa
    Haematologica 2024年6月13日  
    Not available.
  • 松岡 紗恵, 菊池 次郎, 長田 直希, 窪田 浩一, 喜久里 貢, 小山 裕雄, 菊地 正樹, 安井 寛, 池田 翔, 高橋 直人, 梅原 崇史, 仲宗根 秀樹, 古川 雄祐
    日本血液学会学術集会 85回 44-44 2023年10月  
  • 長田 直希, 菊池 次郎, 松岡 紗恵, 安井 寛, 池田 翔, 高橋 直人, 仲宗根 秀樹, 古川 雄祐
    日本血液学会学術集会 85回 1171-1171 2023年10月  
  • 長田 直希, 菊池 次郎, 松岡 紗恵, 安井 寛, 池田 翔, 高橋 直人, 仲宗根 秀樹, 古川 雄祐
    日本癌学会総会記事 82回 2127-2127 2023年9月  
  • Naoki Osada, Jiro Kikuchi, Hidekatsu Iha, Hiroshi Yasui, Sho Ikeda, Naoto Takahashi, Yusuke Furukawa
    Clinical and Translational Medicine 13(8) 2023年8月15日  
    Abstract Background The immunomodulatory drug lenalidomide, which is now widely used for the treatment of multiple myeloma (MM), exerts pharmacological action through the ubiquitin‐dependent degradation of IKZF1 and subsequent down‐regulation of interferon regulatory factor 4 (IRF4), a critical factor for the survival of MM cells. IKZF1 acts principally as a tumour suppressor via transcriptional repression of oncogenes in normal lymphoid lineages. In contrast, IKZF1 activates IRF4 and other oncogenes in MM cells, suggesting the involvement of unknown co‐factors in switching the IKZF1 complex from a transcriptional repressor to an activator. The transactivating components of the IKZF1 complex might promote lenalidomide resistance by residing on regulatory regions of the IRF4 gene to maintain its transcription after IKZF1 degradation. Methods To identify unknown components of the IKZF1 complex, we analyzed the genome‐wide binding of IKZF1 in MM cells using chromatin immunoprecipitation‐sequencing (ChIP‐seq) and screened for the co‐occupancy of IKZF1 with other DNA‐binding factors on the myeloma genome using the ChIP‐Atlas platform. Results We found that c‐FOS, a member of the activator protein‐1 (AP‐1) family, is an integral component of the IKZF1 complex and is primarily responsible for the activator function of the complex in MM cells. The genome‐wide screening revealed the co‐occupancy of c‐FOS with IKZF1 on the regulatory regions of IKZF1‐target genes, including IRF4 and SLAMF7, in MM cells but not normal bone marrow progenitors, pre‐B cells or mature T‐lymphocytes. c‐FOS and IKZF1 bound to the same consensus sequence as the IKZF1 complex through direct protein‐protein interactions. The complex also includes c‐JUN and IKZF3 but not IRF4. Treatment of MM cells with short‐hairpin RNA against FOS or a selective AP‐1 inhibitor significantly enhanced the anti‐MM activity of lenalidomide in vitro and in two murine MM models. Furthermore, an AP‐1 inhibitor mitigated the lenalidomide resistance of MM cells. Conclusions C‐FOS determines lenalidomide sensitivity and mediates drug resistance in MM cells as a co‐factor of IKZF1 and thus, could be a novel therapeutic target for further improvement of the prognosis of MM patients.

MISC

 49
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    臨床血液 61(7) 832-841 2020年7月  
    多発性骨髄腫の薬剤耐性獲得における骨髄微小環境の役割と機序の解明は重要な課題である。筆者らはストローマ細胞との接着時,転写抑制に働くヒストン修飾であるヒストンH3の27番目のリジンのトリメチル化抑制が耐性獲得の鍵となることを明らかにした。メチル化抑制はメチル化酵素EZH2のリン酸化を介した活性抑制によるものであった。下流ではアポトーシス抑制分子に加えて,細菌由来のリポ多糖(LPS)を認識するToll様受容体CD180の発現亢進が見られた。LPSはストローマ細胞との接着かつ低酸素下におけるCD180発現亢進に応じて増殖促進に働いた。また,CD180遺伝子が転写因子Ikarosにより転写活性化されること,lenalidomideがCD180発現抑制を介してLPSによる増殖を抑制することを明らかにした。LenalidomideにはCD180発現抑制により感染をきっかけとした病態悪化の予防を介した生存期間延長効果が示唆される。(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    カレントテラピー 38(6) 514-521 2020年6月  
    多発性骨髄腫はB細胞系列の最終分化段階にあるpost-germinal center B-cellを発生母地とし、14q転座ないし染色体高二倍体化をドライバー変異として発症する。これらの変異によって発生した骨髄腫幹細胞が骨髄微小環境とのクロストークによって多様なサブクローンを産生し、初期段階から複雑な階層構造を取る。骨髄腫細胞、特に幹細胞画分はニッチとの相互作用によってdormancyや抗がん剤抵抗性を獲得している。VLA-4を介する細胞接着によって活性化されたPI3K-AKTがヒストンメチル化酵素EZH2を不活化し、Bcl-2・IGF-1・HIF-1αなどを脱抑制して薬剤耐性を賦与する。またEZH2の下流にはIKZF1があり、未分化骨髄腫細胞のIMiDs高感受性を良く説明する。さらにIKZF1はCD38やSLAMF7の発現も制御しており、治療戦略を立てる際の重要なファクターとなる。(著者抄録)
  • 小山大輔, 菊池次郎, 黒田芳明, 大田雅嗣, 古川雄祐
    日本血液学会学術集会抄録(Web) 82nd 2020年  
  • 菊池 次郎
    Medical Science Digest 44(13) 707-710 2018年11月  
    多発性骨髄腫細胞は現在も難治性の造血器腫瘍である。骨髄腫細胞は骨髄微小環境、特に骨髄間質細胞との細胞間接着を介した相互作用により増殖能や薬剤耐性能を獲得する。したがって、その機序の解明は重要な研究課題である。筆者らは、骨髄間質細胞との接着シグナルが、1)転写抑制に働くヒストンH3の27番目のリジン(H3-K27)のメチル化とくにトリメチル化を抑制し接着耐性の腱になること、2)下流で抗アポトーシスに働くIGF-1やBcl-2の発現が亢進すること、3)Toll様受容体(TLR)CD180の発現を亢進させ細菌感染をきっかけとした病態の悪化に働くこと、4)骨髄腫治療のキードラッグの一つ免疫調節薬がCD180発現抑制を介してその機序の阻害に働くこと、を明らかにした。ここから、細菌感染の予防と免疫調節薬による維持療法が多発性骨髄腫の予後改善に有効となる可能性を明らかにした。(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 黒田 芳明, 菊池 次郎
    臨床血液 59(8) 1048-1057 2018年8月  
    多発性骨髄腫(MM)においては骨髄間質細胞との接着と低酸素(骨髄微小環境)によってdormancyと抗がん剤耐性が誘導されるが、そのメカニズムはまだ完全には解明されていない。そこで骨髄微小環境にあるdormant MM細胞が再増殖するメカニズムと治療的介入の可能性について研究を行った。MM細胞には非定型的Toll-like receptor(TLR)であるCD180/MD-1複合体が発現しており、間質細胞との接着および低酸素によって発現が亢進した。CD180/MD-1複合体は細菌由来のリポ多糖体(LPS)を認識し、MAPキナーゼ(ERK・JNK)を介してMM細胞の増殖を促進した。CD180遺伝子の転写調節領域にはIKZF結合配列が存在し、MM細胞においてはIKZF1(Ikaros)が結合してCD180の発現を促進する。間質細胞との接着および低酸素環境においてはIkarosの発現が上昇するため、CD180の転写が活性化される。LenalidomideはIkarosの分解を介して骨髄腫細胞のCD180発現とLPSによる増殖を抑制した。CD180の発現抑制はlenalidomideによる継続治療・維持療法の有効性の根拠の1つと考えられる。(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    血液フロンティア 28(5) 747-754 2018年4月  
    <文献概要>免疫調節薬(IMiDs)とくにlenalidomideは,継続的な使用により骨髄腫患者の予後を改善する。これはIMiDsが治療後に残存する骨髄腫幹細胞をターゲットとするためである。そのメカニズムの1つとして,骨髄間質細胞との接着によるEZH2不活化によりIKZF1の転写が亢進することが考えられる。一方,プロテアソーム阻害剤はMタンパク産生の旺盛な成熟クローンに有効であるが,継続して用いることによって成熟クローンの供給源である骨髄腫幹細胞を枯渇させる。プロテアソーム阻害剤による継続治療は,17p欠失を有する例には必須である。分子病態を理解した上で適切な薬剤を継続的に使用することは,多発性骨髄腫の治療成績向上に大きく貢献する。
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    血液フロンティア 28(4) 553-563 2018年3月  
    <文献概要>多発性骨髄腫は,14q転座ないし染色体高二倍体化をinitiating mutationとして発症する。これらの変異によって生じた骨髄腫幹細胞が初期から多様なサブクローンを産生し,複雑な階層構造をとることが明らかになっている。高二倍体化によって発症した骨髄腫はダーウィン型の枝分かれ進化をし,骨髄微小環境や免疫応答が進展に影響するため免疫調節薬(IMiDs)が有効である。一方,約20%の症例は中立進化をするため,IMiDsの効果が弱く,プロテアソーム阻害剤を必要とする。また,成熟したクローンはプロテアソーム阻害剤に感受性が高く,骨髄腫幹細胞を含む未分化なクローンはIMiDsによって排除される。多様なクローンの存在と薬剤感受性の違いは,治療戦略を立てる際に重要なファクターとなる。
  • 菊池 次郎, 黒田 芳明, 古川 雄祐
    血液内科 75(4) 456-464 2017年10月  
  • 古川 雄祐, 黒田 芳明, 菊池 次郎
    BIO Clinica 32(9) 875-880 2017年8月  
    ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)はコア・ヒストンN末端のリジン残基からアセチル基を除去することでクロマチン構造をコンパクトにし、転写を抑制する一群の酵素である。また組織特異的転写因子やチュブリンを脱アセチル化するサブタイプも存在し、細胞分化やオートファジーの制御に関与する。多発性骨髄腫においては、種々のHDACが強発現しており、予後との関連も示されている。機能的にはHDAC1とHDAC3が骨髄腫細胞の増殖に必須で、これらを標的とするHDAC阻害剤は骨髄腫に有効と考えられる。またHDAC6はプロテアソームでは分解できない凝集タンパク質をオートファジーで処理する際に必須の役割を果たしている。したがってHDAC6阻害剤はプロテアソーム阻害剤と相乗的に抗骨髄腫効果を発揮する。この3つのHDACを抑制する汎HDAC阻害剤panobinostatが難治性骨髄腫の治療に用いられている。(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 黒田 芳明, 菊池 次郎
    血液フロンティア 27(9) 1239-1246 2017年8月  
    多発性骨髄腫はclass I HLA,soluble MICA,PD-L1を発現して,NK細胞やキラーTリンパ球などのエフェクター細胞による免疫排除を免れている。免疫調節薬(IMiDs)はPD-L1の発現を抑制するとともにエフェクター細胞を活性化し,免疫環境を改善することで抗骨髄腫効果を発揮する。したがってIMiDsと治療用抗体の併用はきわめて合理的かつ有効な治療法である。また,プロテアソーム阻害剤もclass I HLAの発現やMICAのsheddingを抑制して抗骨髄腫免疫を増強するため,IMiDs耐性例などにおける抗体療法への組み込みが期待される。すでに抗SLAMF7抗体エロツズマブが臨床的に成果を上げているが,今後,抗CD38抗体daratumumabなども加わり,抗体医薬は治癒を目指す骨髄腫治療戦略に不可欠な地位を占めると考えられる。(著者抄録)
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    血液内科 74(2) 131-137 2017年2月  
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    血液内科 73(4) 534-538 2016年10月  
  • 古川 雄祐, 和田 妙子, 菊池 次郎
    血液内科 72(6) 857-862 2016年6月  
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    Pharma Medica 33(12) 9-13 2015年12月  
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    血液内科 71(6) 742-747 2015年12月  
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    腫瘍内科 16(6) 558-565 2015年12月  
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    臨床検査 58(13) 1560-1568 2014年12月  
    non-IgM MGUSの発症にはcyclin Dの強発現が関与している.non-IgM MGUSから多発性骨髄腫への進展には,Rasの突然変異・c-Mycの強発現・ゲノムの低メチル化が重要である.次世代シークエンシングによって多発性骨髄腫の進展にかかわる突然変異の出現機構が明らかにされつつある.IgM MGUSからマクログロブリン血症への進展にはMYD88の変異によるNF-κBの恒常的活性化が関与している.(著者抄録)
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    血液内科 69(4) 562-567 2014年10月  
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    血液フロンティア 24(6) 869-879 2014年5月  
    多発性骨髄腫は形質細胞がドライバー変異(14q転座・高二倍体化)によってがん幹細胞化し、そこにstepwiseに付加的遺伝子異常が加わることで、monoclonal gammopathy of undetermined significance(MGUS)→無症候性骨髄腫(smoldering myeloma)→症候性骨髄腫→形質細胞性白血病と、linearにevolutionしていくと考えられてきた。ところが、最近の次世代シークエンスや高感度アレイによる解析の結果、すでにMGUSの段階で多様なクローンが存在し、枝分かれ状の複雑な階層構造を有することが明らかになってきた。病態進展の本態は、変異の蓄積よりもクローン構造の変化が主体と考えられる。治療成績のさらなる向上のためには、クローン多様性を考慮した治療戦略が必要であろう。(著者抄録)
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    血液内科 67(1) 112-122 2013年7月  
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    BIO Clinica 27(13) 1212-1217 2012年12月  
    骨髄腫細胞は骨髄間質系細胞とのサイトカイン刺激や接着シグナルを介した相互作用により薬剤耐性を獲得する。これまでに間質系細胞の産生するIL-6、SDF-1や、骨髄腫細胞に発現するVLA-4、PSGL-1、CXCR4等の接着分子の関与が示唆されている。これら分子に対する抗体や阻害剤は前臨床試験において、抗がん剤の感受性向上に有効性が示されている。しかしながら、骨髄腫細胞は間質系細胞を含む種々の細胞と複雑なネットワークを形成し薬剤耐性を獲得している。さらなる分子機構の解明は今後の重要な研究課題である。(著者抄録)
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    医学のあゆみ 242(13) 1209-1214 2012年9月  
    ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)はヒストン修飾を介した遺伝子発現の制御因子であり、ヒストン脱アセチル化を介しておもに転写抑制に働いている。多発性骨髄腫を含む悪性腫瘍ではHDACの強発現がみられ、分化やアポトーシス関連分子の発現が抑制されている。HDAC阻害剤はこの発現抑制の是正を介して抗腫瘍効果を誘導する。多発性骨髄腫に対するHDAC阻害剤の効果は前臨床試験では有効性がみられたが、臨床試験ではほとんど効果がみられなかった。ところが、最近になってプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブと併用した複数の臨床試験における有効性が報告された。現在、第III相試験による検証が進められているが、ボルテゾミブとHDAC阻害剤の併用は発現抑制の是正を介した機構と変成蛋白の蓄積に伴う小胞体ストレスを介した機構の両者を介して相加的に作用することから、有効な治療法と考えられる。(著者抄録)
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    血液フロンティア 22(S-1) 625-633 2012年4月  
    抗がん剤耐性は多発性骨髄腫の予後不良の主因である。骨髄腫細胞は骨髄微小環境との相互作用によって薬剤耐性(接着耐性)を獲得する。筆者らは、ボルテゾミブが薬剤耐性の鍵分子であるVLA4やHDACを標的にすることから、高い抗骨髄腫作用を示すことを明らかにした。このような作用はボルテゾミブに特異的であり、多発性骨髄腫の治療成績向上にはボルテゾミブを用いた併用療法の有効性が示唆される。本稿では、これまでに得た理論的基盤をもとに、特にHDAC阻害剤併用の有効性について考察を加えたので紹介する。(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 平岡 信弥, 和田 妙子, 菊池 次郎, 加納 康彦
    日本薬理学雑誌 138(1) 26-32 2011年7月  
    ベンダムスチン(トレアキシン)はプリンアナログ様骨格にアルキル基が結合したハイブリッドな抗がん薬である。作用機序はDNAアルキル化が主体と考えられ、代謝拮抗作用については明確な結論は出ていない。がん細胞に作用させた場合に他のアルキル化薬に比べて多彩な作用を示すのが特徴で、(1)架橋形成〜DNA鎖切断によるネクローシス誘導、(2)DNA損傷チェックポイント活性化によるp53依存性アポトーシスおよび活性酸素種(ROS)を介するp53非依存性アポトーシスの誘導、(3)分裂期チェックポイントの阻害による分裂期細胞死(mitotic catastrophe)誘導、(4)DNA修復阻害、(5)遺伝子発現調節、(6)早期のS期停止誘導などが報告されている。このような多様な作用機序を有することが、アルキル化薬を含む他の抗がん薬と交差耐性を示さない、単剤で従来の標準併用化学療法を上回る成績を示すなどの優れた特徴を生んでいると考えられる。ベンダムスチンは1963年に旧東ドイツにおいて開発されたが、90年代に入ってから本格的に臨床試験が行われ、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(瀘胞性リンパ腫、小細胞リンパ腫)、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病に対する有効性が確立している。現在は再発・難治例が適応となっているが、初発の低悪性度非ホジキンリンパ腫を対象としてリツキシマブ+ベンダムスチンと現在の標準的治療であるリツキシマブ+CHOP(シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)を比較する第III相試験が行われ、無増悪性生存期間の中央値において前者が有意に優れていた。さらに現在、中悪性度非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫)、多発性骨髄腫への適応拡大のための臨床試験が行われている。副作用としては血液毒性、リンパ球減少による日和見感染、消化器毒性(食欲不振、悪心、便秘)などがあるが、重篤なものではない。脱毛、末梢神経障害は認めない。ベンダムスチンは今後、さまざまな悪性腫瘍において第一選択の薬剤となる可能性がある。(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 清水 瑠美, 和田 妙子, 菊池 次郎
    血液内科 62(4) 499-506 2011年4月  
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    最新医学 66(3) 432-440 2011年3月  
    一見均一に見える骨髄腫細胞集団であるが,クローン性の増殖を示す細胞はごく少数である.骨髄腫幹細胞のマーカーはCD138-/CD19+/CD27+/CD38-で,メモリーB細胞の段階で染色体転座やNF-κB活性化により骨髄腫幹細胞が生じ,骨髄微小環境において骨髄腫として発症すると考えられる.VLA-4を介する骨髄間質細胞との接着が,骨髄腫幹細胞の細胞周期停止,薬剤抵抗性に重要である.従来の抗がん剤のみで骨髄腫幹細胞を駆逐することは難しいが,プロテアソーム阻害薬,IMiDs,HDAC阻害薬,抗VLA-4抗体などとの併用は有効と考えられる.(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    血液内科 62(2) 178-184 2011年2月  
  • 古川雄祐, 平岡信弥, 和田妙子, 菊池次郎, 加納康彦
    日本薬理学雑誌 138(1) 26-32 (J-STAGE) 2011年  
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    血液・腫瘍科 61(2) 206-211 2010年8月  
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    Annual Review血液 2010 139-145 2010年1月  
    抗がん剤耐性は骨髄腫細胞の予後不良の主因である.骨髄腫の薬剤耐性は自然耐性(de novo resistance)と獲得耐性(acquired resistance)の2つに大別され,前者はinterleukin-6やSDF-1などの液性因子によるもの(soluble factor-mediated drug resistance)と主にVLA4を介する骨髄微小環境との相互作用によって誘導されるもの[接着耐性(cell adhesion-mediated drug resistance)]がある.メカニズムとして,CDK抑制因子の誘導による細胞周期停止やBimの分解,Bcl-xの発現誘導によるアポトーシス抵抗性の賦与が明らかにされている.後者は薬剤の長期曝露によって耐性が獲得される場合で,DNA修復能の亢進や薬物代謝の促進を介する.最近,bortezomib,抗VLA4抗体,低分子CXCR4阻害剤などが骨髄腫細胞の接着耐性を解除し,薬剤感受性を向上させることが報告されており,臨床応用が期待される.(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    最新医学 64(12) 2506-2511 2009年12月  
    骨髄腫の薬剤耐性は自然耐性と獲得耐性に大別され,前者は液性因子によるものとVLA4を介する骨髄微小環境との接着によるものがある.メカニズムとして,細胞周期停止とアポトーシス抵抗性が重要である.後者は薬剤の長期暴露によって耐性が獲得される場合で,DNA修復能や薬物代謝の亢進による.最近,ボルテゾミブ,抗VLA4抗体,低分子CXCR4阻害薬などが接着耐性を解除し,薬剤感受性を向上させることが報告されている.(著者抄録)
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    Biotherapy 23(5) 379-385 2009年9月  
    一見均一にみえる骨髄腫細胞集団であるが、クローン性の増殖を示す細胞は100〜100000個に1個しか存在しないことは1970年代から示されていた。最近の研究なら骨髄腫幹細胞のマーカーはCD138-/CD19+/CD27+/CD38-であることが示されており、これはメモリーBリンパ球に相当する。メモリーBリンパ球の段階で、免疫グロブリン重鎖を含む染色体転座やNF-κB活性化によって骨髄腫幹細胞が生じ、形質細胞に分化した段階で、微小環境との相互作用により骨髄腫として発症する。骨髄微小環境との相互作用により細胞周期停止、抗癌剤抵抗性(接着耐性)が獲得されるが、その責任分子はVLA4と考えられる。骨髄腫幹細胞を標的とする治療により、治療成績の大いなる改善が期待される。(著者抄録)
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    血液・腫瘍科 59(3) 315-320 2009年9月  
  • 菊池 次郎, 古川 雄祐
    血液・腫瘍科 58(2) 219-224 2009年2月  
  • 古川 雄祐, 菊池 次郎
    最新医学 63(12) 2375-2380 2008年12月  
    骨髄腫細胞の増殖・生存には,骨髄微小環境との相互作用が重要である.特に骨芽細胞との接着により,細胞周期停止,抗癌剤抵抗性(接着耐性)が獲得される.骨髄腫の細胞表面には種々の接着分子が発現しているが,接着耐性の責任分子はVLA4である.骨髄腫幹細胞のマーカーはCD138-/CD19+/CD27+/CD38-で,メモリーB細胞に相当する.メモリーB細胞の段階で染色体転座やNF-κB活性化によって骨髄腫幹細胞が生じ,形質細胞に分化した段階で微小環境との相互作用により骨髄腫として発症する.(著者抄録)
  • 菊池 次郎
    血液フロンティア 17(11) 1647-1655 2007年10月  
    E2Fは9つのE2Fサブユニット、2つのDPサブユニットのそれぞれ1つからなるヘテロ二量体の転写因子であり、細胞周期、細胞分化及びアポトーシス制御に関わっている。ヒトCD34陽性の造血幹/前駆細胞にはE2F-1,-2,-4、及び-6が発現しており、主にE2F-4が細胞周期を抑制し、E2F-2はS期への進行に働いている。E2F-1の作用は主にアポトーシス誘導であり、E2F-6はそれを拮抗阻害している。E2F-6は、造血幹/前駆細胞の増殖に伴うアポトーシス抑制により造血システムの維持に重要である。(著者抄録)

講演・口頭発表等

 45

共同研究・競争的資金等の研究課題

 34

主要な産業財産権

 8

メディア報道

 6