村上 礼子, 春山 早苗, 江角 伸吾, 小谷 和彦
自治医科大学看護学ジャーナル 19 3-12 2022年3月
へき地診療所医師の捉える特定行為研修修了看護師(以下,研修修了看護師)の認知度,期待等を明らかにすることを目的に,全国1,018のへき地診療所の医師を対象に,研修制度の認知,研修修了看護師への期待,医行為の実施状況などについて無記名自記式質問紙を郵送調査し,172部(16.9%)の有効回答を得た。研修制度の認知度は「聞いたことがある」が約5割であった。医師の医行為の実施状況は,創傷管理関連が最も多く,血糖や感染などの各種薬剤投与・調整管理が続いた。必要だと考える特定行為区分は,医師の実施する医行為の結果と概ね同様で,薬物療法に関わる知識や自己管理支援等の能力を有する特定行為・行為区分の受講でも活動が期待できると考える。また,研修修了看護師への期待は【エビデンスに基づく適切な医療及び看護の提供】,【医師がタイムリーに動けない時や不在時の対応】などで高く,【医師の負担軽減や診療支援】は低い傾向があり,医師は医師として,看護師は看護師としての責任や専門性をもって,協働すべきと考えており,タスクシェアとなる活動が期待されていることが推察された。(著者抄録)