佐藤 幹代, 高橋 正雄, 本間 真理, 芦沢 健, 池田 望
慢性疼痛 24(1) 173-182 2005年12月
森田療法的接近を用いた精神集団療法「くろぱんの会」に参加経験のある慢性疼痛患者12名(男4名,女8名)を対象に,痛みの対処法について自記式質問紙調査および半構造化面接を行った.疼痛期間は4年6ヵ月〜9年8ヵ月で,痛みの程度はNumeric Rating Scaleで3〜9(平均5.6)であった.疼痛緩和の方法は薬剤,神経ブロックが多かったが,他に暖める,運動療法,東洋医療,気分転換など全員が様々な方法を試みていた.「痛みに対処できている」は4名,「できていない」が5名であった.民間療法や宗教的行為を受けたことがあるのは10名で,高額な支払いを行っている例もあり,その効果には個人差があった.集団療法について,効果ありと感じているのは8名で,理由は「痛みを忘れられる」「気楽になる」などであった.面接で聴取した疼痛対処方法は,「認識を変える」「自ら方法を見出す」などで,集団療法に参加する目的は「話ができる」「痛みを共有」「緩和に繋がる」「知識が得られる」「精神的な支え」などであった