松本 浩一, 篠崎 泰久, 土屋 欣之, 星 健太郎, 伊藤 弘人, 野口 忠秀, 小佐野 仁志, 神部 芳則, 若林 宣江, 鈴木 祐子, 本多 ムツ子, 草間 幹夫
自治医科大学医学部紀要 27 183-197 2004年12月1日
口腔癌術後患者は口腔機能障害が出現することが多く,そのため口腔機能を正確に把握するための口腔機能評価が必要となる。また,それに基づく機能回復のための再建手術やリハビリテーションが重要である。当科で行っている口腔機能の評価法を紹介する。嚥下機能については,反復唾液嚥下テスト,水飲みテスト,VF検査を施行。長期的な総合評価は,摂食・嚥下能力のgrade表を用いる。咀嚼機能については,デンタルプレスケール,山本咬度表にて検査している。構音機能は,田口の5段階尺度,発語明瞭度検査を施行している。また,器官運動能力として口唇,舌,頬粘膜,頸部,肩の運動を評価している。その他,触覚,味覚を含めた知覚検査も行う。術後のリハビリテーションは,嚥下機能訓練については,器官運動能力評価を行い,頚部と腕のストレッチなどの間接訓練から開始する。反復唾液嚥下テスト,水飲みテスト,頚部聴診法,さらにVF検査にて誤嚥の有無を確認した上で,直接訓練を開始する。嚥下練習食より開始,徐々に食事形態を上昇させていく。