西江 宏行, 石井 典子, 鷹取 誠, 市場 稔久, 友塚 直人, 三宅 麻子, 道明 武範, 末盛 智彦, 久利 順子, 野上 悟史, 藤中 和三, 内藤 博司, 武藤 純, 多田 恵一
広島医学 56(5) 331-333 2003年5月
66歳男性.患者は発熱および右足の発赤・疼痛を主訴に,近医を訪れ生剤投与を受けていた.しかし,血中クレアチニン(Cr)の上昇が出現したため,著者らのICUへ入院となった.入院時,右足趾間部に小水疱,左手首に腫脹,左膝部に発赤がを認められた.血液検査ではBUN,Cr,CRPの上昇,血小板,AT-IIIの低下,FDPの上昇を認め,DICが疑われた.血液培養と右趾間の培養では,A群β溶連菌が検出された.この時点では蜂窩織炎と判断し,ペニシリンG投与とともに補液を開始したが,入院4日目より尿量の減少,Crの再上昇とともにASO,ASKの上昇,CH50の低下を認めた.以上より,溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)と診断し,ドパミン,フロセミド,カルペリチド投与やCHDを行ったが無効であった.そこでステロイドパルス療法を2クール行ったところ,腎機能の改善がみられ,入院18日目にCHD離脱となり,26日目にはICU退室となった.副作用を注意して使用すればステロイドパルスはPSAGNに対して有効な治療法になりうると考えられた