研究者業績

蕪城 俊克

カブラキ トシカツ  (Toshikatsu Kaburaki)

基本情報

所属
自治医科大学 医学部総合医学第2講座 /眼科学 教授
学位
医学博士(東京大学大学院医学系研究科)

J-GLOBAL ID
200901008552020749
researchmap会員ID
5000090388

経歴

 8

学歴

 3

受賞

 1

論文

 154
  • 楠原 仙太郎, 松宮 亘, 吉川 敦子, 淺原 俊一郎, 木戸 良明, 小川 渉, 西庄 龍東, 曽谷 尭之, 岸 真椰, 橘 吉寿, 内匠 透, 金 景佑, 村井 佑輔, 荒井 美奈, 坂本 麻里, 盛 崇太朗, 牧 仁美, 今井 尚徳, 田上 瑞記, 園田 康平, 蕪城 俊克, 柳井 亮二, 丸山 和一, 金子 優, 篠原 正和, 浅井 義之, 中津井 雅彦, 早野 崇英, 柏木 賢治, 中村 誠
    日本眼科学会雑誌 128(3) 234-255 2024年3月  
    精密医療とは臨床情報・遺伝情報・環境因子を含む多くのデータセットから患者を層別化し,それぞれのグループに最適な治療法や予防法を提供するものである.ぶどう膜炎診療では,ぶどう膜炎の病期,眼炎症の活動性とその程度,眼炎症が眼組織に及ぼす影響などを考慮しながら,目の前のぶどう膜炎患者に最適な治療を適宜選択する必要がある.このアプローチ法は精密医療そのものであるが,現状の検査法と治療法から得られるデータセットは質・量ともに十分とはいえない.この問題を解決するために我々は,従来とは異なる検査情報の取得,新規治療法の開発,大規模データベースの構築に取り組んできた.1.眼炎症の「見える化」を目指した生体イメージングの開発古くからぶどう膜炎における炎症評価方法のゴールドスタンダードは検眼鏡所見である.ぶどう膜炎では検眼鏡的に炎症所見が軽微であっても網膜組織障害が慢性に進行する場合があり,そのような症例では治療の匙加減に悩むことがしばしばある.我々は光干渉断層計(OCT)を活用することによって,硝子体細胞の特徴がぶどう膜炎の分類に有用であることを見出し,en face slab OCT imagingによりぶどう膜炎に伴う網膜内層障害を二次元的に評価することに成功した.さらに,二光子顕微鏡によるマウス網膜のin vivo imagingでは,炎症惹起に伴うミクログリアの動的な反応を評価できることを明らかにした.ヒト生体網膜での炎症細胞の動的な可視化は現実的ではないが,マウス網膜で得られた知見を適切な生体プローブの動態に関連づけることによって,構造異常が認められない段階での網膜細胞異常の有無を臨床で可視化できるようになると思われる.これらの生体イメージングによる眼炎症の「見える化」は,眼炎症と網膜組織障害の詳細な評価を介して,きめ細やかな眼炎症管理に貢献するものと期待される.2.ぶどう膜炎続発緑内障の克服を目指した新しい濾過手術近年の生物学的製剤の登場と硝子体手術の低侵襲化によって,ぶどう膜炎における主要な失明原因は黄斑病変から続発緑内障へとシフトしていくことが予想される.ぶどう膜炎続発緑内障は原発開放隅角緑内障に比べ高眼圧であり視野障害の進行が速いことから,原発開放隅角緑内障とは異なる治療戦略で長期的な視機能維持を目指す必要がある.我々は,ぶどう膜炎続発緑内障ではRho-associated coiled-coil forming kinase(ROCK)阻害薬点眼が著効する症例が存在すること,谷戸フックを用いた線維柱帯切開術(眼内法)の治療成績が原発開放隅角緑内障と遜色がないことを明らかにした.一方,濾過手術の進化はぶどう膜炎続発緑内障の管理に必須である.著者が発明したTenon開創器は術中にTenon嚢-強膜間のスペースを確保することによって結膜への影響を最小限にマイトマイシンCの効果を得ることを目的としたデバイスである.これに独特な強膜フラップ処理と独自の結膜縫合法を組み合わせることによって,濾過胞管理の不要な新しい線維柱帯切除術が誕生した.また,我々が行ったロングチューブシャント手術の改良もぶどう膜炎続発緑内障に対する低侵襲濾過手術の実現に貢献している.ぶどう膜炎続発緑内障に対するこれらの治療法の登場によって,ぶどう膜炎患者の視機能が長期的に維持されることを期待したい.3.自己免疫網膜症に対する精密医療への取り組み自己免疫網膜症は網膜細胞を標的とする自己免疫反応が亜急性に網膜視細胞を不可逆的に障害するまれな疾患である.自己免疫網膜症の診断については抗網膜自己抗体の特異度が低いこと,治療に関しては標準化された治療アルゴリズムがないことがそれぞれ問題となっている.また,視機能が不可逆的に障害される前に治療効果を判定できる他覚的な疾患バイオマーカーがないことも自己免疫網膜症診療を難しくしている主因となっている.そこで我々は,日本眼炎症学会とJapan Ocular Imaging Registryの助力を得て,自己免疫網膜症患者の大規模臨床データベースの作成,患者血液を用いた網羅的プロテインアレイによる主要な抗網膜抗体の決定,患者血液を用いた代謝物データと臨床データの統合解析による臨床バイオマーカーの探索を目指した多機関研究を行うこととした.本研究で得られる質の高いデータセットを活用することによって,自己免疫網膜症の精密医療が進むものと考えている.(著者抄録)
  • 鈴木 佳代, 南場 研一, 金子 優, 大黒 伸行, 竹内 正樹, 伊東 崇子, 永田 健児, 臼井 嘉彦, 蕪城 俊克, 田中 理恵, 柳井 亮二, 楠原 仙太郎, 慶野 博, 丸山 和一, 竹内 大, 若年性慢性虹彩毛様体炎研究グループ
    日本眼科学会雑誌 128(臨増) 208-208 2024年3月  
  • Yoshiaki Tanaka, Rina Takagi, Shingen Mitou, Machiko Shimmura, Tetsuya Hasegawa, Jota Amarume, Masami Shinohara, Yasushi Kageyama, Tomohiko Sasase, Takeshi Ohta, Shin-Ichi Muramatsu, Akihiro Kakehashi, Toshikatsu Kaburaki
    Biological & pharmaceutical bulletin 2024年3月1日  
    Diabetic retinopathy (DR) can cause visual impairment and blindness, and the increasing global prevalence of diabetes underscores the need for effective therapies to prevent and treat DR. Therefore, this study aimed to evaluate the protective effect of pemafibrate treatment against DR, using a Spontaneously Diabetic Torii (SDT) fatty rat model of obese type 2 diabetes. SDT fatty rats were fed either a diet supplemented with pemafibrate (0.3 mg/kg/day) for 16 weeks, starting at 8 weeks of age (Pf SDT fatty: study group), or normal chow (SDT fatty: controls). Normal chow was provided to Sprague-Dawley (SD) rats (SD: normal controls). Electroretinography (ERG) was performed at 8 and 24 weeks of age to evaluate the retinal neural function. After sacrifice, retinal thickness, number of retinal folds, and choroidal thickness were evaluated, and immunostaining was performed for aquaporin-4 (AQP4). No significant differences were noted in food consumption, body weight, or blood glucose level after pemafibrate administration. Triglyceride levels were reduced, and high-density lipoprotein cholesterol levels were increased. Extension of oscillatory potential (OP)1 and OP3 waves on ERG was suppressed in the Pf SDT fatty group. Retinal thickness at 1,500 microns from the optic disc improved in the Pf SDT fatty group. No significant improvements were noted in choroidal thickness or number of retinal folds. Quantitative analyses showed that AQP4-positive regions in the retinas were significantly larger in the Pf SDT fatty group than in the SDT fatty group. The findings suggest that pemafibrate treatment can exert protective effects against DR.
  • 田岡 和城, 唐川 綾子, 志村 有香, 田中 理恵, 本田 晃, 正本 庸介, 蕪城 俊克, 相原 一, 黒川 峰夫
    日本血液学会学術集会 85回 676-676 2023年10月  
  • Hirotsugu Soga, Tatsuya Inoue, Yoshihiro Urade, Takashi Ueta, Hidetoshi Kawashima, Toshikatsu Kaburaki, Makoto Aihara
    Translational Vision Science & Technology 12(5) 5-5 2023年5月3日  

MISC

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  • 平沼 優悟, 齊間 至成, 田中 克明, 御任 真言, 高木 理那, 榛村 真智子, 高野 博子, 梯 彰弘, 蕪城 俊克
    臨床眼科 76(7) 915-919 2022年7月  
    <文献概要>目的:潰瘍性大腸炎に対して免疫抑制薬で加療中に発症した,両眼性のListeria眼内炎の1例について報告する。症例:84歳,男性。潰瘍性大腸炎に対して免疫抑制薬を使用中,ペースメーカー挿入術後に両眼の霧視と眼痛を自覚した。前医で両眼虹彩炎と硝子体混濁を認めたためステロイドの点眼および内服を開始され,発症1週間後に当科へ紹介となった。初診時,両眼とも光覚弁であった。前房蓄膿,硝子体混濁で眼底透見不能,全眼球炎の状態であった。同日全身麻酔下で両眼白内障・硝子体同時手術(シリコーンオイル充填)を施行した。右眼球優位に両眼の周辺網膜の白色化,フィブリン膜形成,網膜全周の白鞘化血管を認めた。硝子体液培養からListeria菌を検出した。術後徐々に炎症は鎮静化したが,全身状態不良により伏臥位姿勢が取れず,術後4週目に右網膜剥離を発症した。強膜バックリング術+硝子体手術を2回行ったが,網膜剥離が再発した。全身状態を考慮し,以降の手術は行わなかった。左眼には網膜剥離を認めず,術半年後時点での視力は,右指数弁,左(0.15)である。結論:免疫抑制状態や高齢者などハイリスク患者の内因性眼内炎の起炎菌としてListeria菌も念頭に置く必要がある。
  • 蕪城 俊克
    OCULISTA (111) 37-42 2022年6月  
    ぶどう膜炎の治療には局所治療と全身治療があり、可能な限り局所治療で治療するのが原則である。ステロイドはぶどう膜炎の全身治療の基本となる薬剤で、Vogt-小柳-原田病や不可逆的視力障害を残す可能性のある難治性のぶどう膜炎で用いられる。使用に際しては血糖上昇、骨粗鬆症、感染症等の副作用に注意する必要があり、導入前にスクリーニング検査を行う。投与は体重あたり0.5〜1mg/kg/日で開始し、眼内の消炎を確認しながら漸減する。Vogt-小柳-原田病や壊死性強膜炎等の重症例ではステロイドパルス療法等による大量のステロイド剤の点滴治療が行われる。ステロイド内服量が高用量ならば消炎するが、減量すると再燃を繰り返す症例もしばしばみられる。そのような症例では、ステロイド長期内服による副作用を回避するために、免疫抑制剤やTNF阻害薬を併用してステロイド内服を減量することが行われる。(著者抄録)
  • 田口 諒, 武島 聡史, 御任 真言, 齊間 至成, 空 大将, 竹内 大, 梯 彰弘, 蕪城 俊克
    あたらしい眼科 39(5) 655-659 2022年5月  
    目的:間質性腎炎ぶどう膜炎症候群(TINU)は若年女性に多い疾患である。今回、非典型的な特徴がみられたTINU症候群の2例を経験したので報告する。症例:症例1は38歳、男性。10日前から右眼視力低下。矯正視力右眼0.3。右眼前房内細胞4+、微塵様角膜後面沈着物、視神経乳頭発赤を認め、血清クレアチニン5.6mg/dl、尿中β2MG 45,000μg/lと高値、腎生検で尿細管間質性腎炎と診断された。ステロイド内服によりぶどう膜炎、腎障害は改善した。症例2は15歳、女性。8年前に両眼ぶどう膜炎を発症。尿中β2MG400μg/l高値からTINU症候群と診断され、ステロイド点眼を継続していた。自治医科大学附属さいたま医療センター初診時の矯正視力両眼1.2。両眼前房内細胞1+、白色小型角膜後面沈着物、蛍光眼底造影で両眼炎症に伴う網膜新生血管がみられた。両眼トリアムシノロンTenon嚢下注射を行い、炎症所見は消失し、新生血管の軽減がみられた。結論:症例1は男性で壮年発症である点、症例2は網膜新生血管を認めた点がTINU症候群としては非典型的である。(著者抄録)
  • 蕪城 俊克
    眼科臨床紀要 15(3) 229-229 2022年3月  

共同研究・競争的資金等の研究課題

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