基本情報
- 所属
- 自治医科大学 医学部総合医学第2講座 /眼科学 教授
- 学位
- 医学博士(東京大学大学院医学系研究科)
- J-GLOBAL ID
- 200901008552020749
- researchmap会員ID
- 5000090388
研究分野
1経歴
8-
2024年4月 - 現在
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2019年8月 - 2024年3月
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2016年11月 - 2019年7月
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2007年6月 - 2016年10月
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2001年4月 - 2007年5月
学歴
3-
1997年4月 - 2001年3月
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1986年4月 - 1998年3月
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1988年4月 - 1992年3月
受賞
1-
2019年4月
論文
154-
日本眼科学会雑誌 128(3) 234-255 2024年3月精密医療とは臨床情報・遺伝情報・環境因子を含む多くのデータセットから患者を層別化し,それぞれのグループに最適な治療法や予防法を提供するものである.ぶどう膜炎診療では,ぶどう膜炎の病期,眼炎症の活動性とその程度,眼炎症が眼組織に及ぼす影響などを考慮しながら,目の前のぶどう膜炎患者に最適な治療を適宜選択する必要がある.このアプローチ法は精密医療そのものであるが,現状の検査法と治療法から得られるデータセットは質・量ともに十分とはいえない.この問題を解決するために我々は,従来とは異なる検査情報の取得,新規治療法の開発,大規模データベースの構築に取り組んできた.1.眼炎症の「見える化」を目指した生体イメージングの開発古くからぶどう膜炎における炎症評価方法のゴールドスタンダードは検眼鏡所見である.ぶどう膜炎では検眼鏡的に炎症所見が軽微であっても網膜組織障害が慢性に進行する場合があり,そのような症例では治療の匙加減に悩むことがしばしばある.我々は光干渉断層計(OCT)を活用することによって,硝子体細胞の特徴がぶどう膜炎の分類に有用であることを見出し,en face slab OCT imagingによりぶどう膜炎に伴う網膜内層障害を二次元的に評価することに成功した.さらに,二光子顕微鏡によるマウス網膜のin vivo imagingでは,炎症惹起に伴うミクログリアの動的な反応を評価できることを明らかにした.ヒト生体網膜での炎症細胞の動的な可視化は現実的ではないが,マウス網膜で得られた知見を適切な生体プローブの動態に関連づけることによって,構造異常が認められない段階での網膜細胞異常の有無を臨床で可視化できるようになると思われる.これらの生体イメージングによる眼炎症の「見える化」は,眼炎症と網膜組織障害の詳細な評価を介して,きめ細やかな眼炎症管理に貢献するものと期待される.2.ぶどう膜炎続発緑内障の克服を目指した新しい濾過手術近年の生物学的製剤の登場と硝子体手術の低侵襲化によって,ぶどう膜炎における主要な失明原因は黄斑病変から続発緑内障へとシフトしていくことが予想される.ぶどう膜炎続発緑内障は原発開放隅角緑内障に比べ高眼圧であり視野障害の進行が速いことから,原発開放隅角緑内障とは異なる治療戦略で長期的な視機能維持を目指す必要がある.我々は,ぶどう膜炎続発緑内障ではRho-associated coiled-coil forming kinase(ROCK)阻害薬点眼が著効する症例が存在すること,谷戸フックを用いた線維柱帯切開術(眼内法)の治療成績が原発開放隅角緑内障と遜色がないことを明らかにした.一方,濾過手術の進化はぶどう膜炎続発緑内障の管理に必須である.著者が発明したTenon開創器は術中にTenon嚢-強膜間のスペースを確保することによって結膜への影響を最小限にマイトマイシンCの効果を得ることを目的としたデバイスである.これに独特な強膜フラップ処理と独自の結膜縫合法を組み合わせることによって,濾過胞管理の不要な新しい線維柱帯切除術が誕生した.また,我々が行ったロングチューブシャント手術の改良もぶどう膜炎続発緑内障に対する低侵襲濾過手術の実現に貢献している.ぶどう膜炎続発緑内障に対するこれらの治療法の登場によって,ぶどう膜炎患者の視機能が長期的に維持されることを期待したい.3.自己免疫網膜症に対する精密医療への取り組み自己免疫網膜症は網膜細胞を標的とする自己免疫反応が亜急性に網膜視細胞を不可逆的に障害するまれな疾患である.自己免疫網膜症の診断については抗網膜自己抗体の特異度が低いこと,治療に関しては標準化された治療アルゴリズムがないことがそれぞれ問題となっている.また,視機能が不可逆的に障害される前に治療効果を判定できる他覚的な疾患バイオマーカーがないことも自己免疫網膜症診療を難しくしている主因となっている.そこで我々は,日本眼炎症学会とJapan Ocular Imaging Registryの助力を得て,自己免疫網膜症患者の大規模臨床データベースの作成,患者血液を用いた網羅的プロテインアレイによる主要な抗網膜抗体の決定,患者血液を用いた代謝物データと臨床データの統合解析による臨床バイオマーカーの探索を目指した多機関研究を行うこととした.本研究で得られる質の高いデータセットを活用することによって,自己免疫網膜症の精密医療が進むものと考えている.(著者抄録)
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Biological & pharmaceutical bulletin 2024年3月1日Diabetic retinopathy (DR) can cause visual impairment and blindness, and the increasing global prevalence of diabetes underscores the need for effective therapies to prevent and treat DR. Therefore, this study aimed to evaluate the protective effect of pemafibrate treatment against DR, using a Spontaneously Diabetic Torii (SDT) fatty rat model of obese type 2 diabetes. SDT fatty rats were fed either a diet supplemented with pemafibrate (0.3 mg/kg/day) for 16 weeks, starting at 8 weeks of age (Pf SDT fatty: study group), or normal chow (SDT fatty: controls). Normal chow was provided to Sprague-Dawley (SD) rats (SD: normal controls). Electroretinography (ERG) was performed at 8 and 24 weeks of age to evaluate the retinal neural function. After sacrifice, retinal thickness, number of retinal folds, and choroidal thickness were evaluated, and immunostaining was performed for aquaporin-4 (AQP4). No significant differences were noted in food consumption, body weight, or blood glucose level after pemafibrate administration. Triglyceride levels were reduced, and high-density lipoprotein cholesterol levels were increased. Extension of oscillatory potential (OP)1 and OP3 waves on ERG was suppressed in the Pf SDT fatty group. Retinal thickness at 1,500 microns from the optic disc improved in the Pf SDT fatty group. No significant improvements were noted in choroidal thickness or number of retinal folds. Quantitative analyses showed that AQP4-positive regions in the retinas were significantly larger in the Pf SDT fatty group than in the SDT fatty group. The findings suggest that pemafibrate treatment can exert protective effects against DR.
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Attenuation of Laser-Induced Choroidal Neovascularization by Blockade of Prostaglandin D2 Receptor 2Translational Vision Science & Technology 12(5) 5-5 2023年5月3日
MISC
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OCULISTA (3) 89-93 2013年6月多発性後極部網膜色素上皮症は、非炎症性に眼底後極部および下方に漿液性網膜剥離をきたす状態で、中心性漿液性網脈絡膜症の劇症型と考えられている。眼底後極部に網膜深層の黄白色の滲出斑、漿液性網膜剥離、網膜色素上皮剥離が多発する。網膜色素上皮層の障害部位を通して脈絡膜から網膜下への水分の漏出が生じることで、漿液性網膜剥離を起こす。全身疾患に対して大量のステロイド内服を行っている患者やSLE患者、腎障害を持つ患者に多い。通常、自然治癒傾向は乏しく、長期にわたり漿液性網膜剥離が持続すると、視力予後は不良となることが多い。ステロイド治療が誘引となって発症したと考えられる症例では、ステロイドの減量、中止により漿液性網膜剥離の改善、消失が期待できる。黄斑部の漿液性網膜剥離が持続し、視力障害が持続する場合は、網膜光凝固術の適応となる。また、保険適応はないが、光線力学療法も有効例が報告されている。(著者抄録)
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臨床眼科 66(11) 149-152 2012年10月<Point>1.角膜内皮に炎症の主座がある病態で,角膜実質,上皮浮腫の部位に一致した白色小型の角膜後面沈着物を特徴とする。2.単純ヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルス,サイトメガロウイルスなどの感染が原因と考えられており,角膜内皮細胞障害が起きる。3.診断は眼所見に加え,PCR検査による前房水中のウイルスDNAの検出による。4.抗ウイルス薬の全身投与あるいは局所投与に加えて,ステロイドの局所点眼が基本的な治療法である。(著者抄録)
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眼科手術 25(2) 211-216 2012年4月ぶどう膜炎ではさまざまな機序により眼圧上昇が起こりうるため、患者ごとに眼圧上昇機序を推測して治療に当たる必要がある。治療は消炎剤および眼圧下降剤による薬物治療を優先するが、眼圧下降が得られない場合に緑内障手術を検討する。術式の選択は、隅角の状態から閉塞隅角緑内障と開放隅角緑内障に分けて考えるのが一般的である。前者ではレーザー虹彩切開術(または周辺虹彩切除術)、隅角癒着解離術、線維柱帯切除術が、後者では線維柱帯切開術、非穿孔性線維柱帯切除術、線維柱帯切除術がおもな適応となる。ぶどう膜炎症例に対する線維柱帯切除術の成績は、原発開放隅角緑内障(POAG)に比べ不良との報告が多いため、マイトマイシンC(MMC)併用を基本とし、術後の消炎や低眼圧に注意する。(著者抄録)
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British journal of haematology 157(2) 252-4 2012年4月 査読有り
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日本の眼科 82(9) 1188-1192 2011年9月日本の眼科の医療レベルを日本眼科学会からの視点から、主な眼科のSubspeciality分野(緑内障、斜視・弱視、神経眼科、ブドウ膜炎、網膜/硝子体、糖尿病網膜症、角膜、白内障)別に、実際の臨床と基礎・臨床研究の両面から国際的なレベルと比較をしつつ俯瞰を行った。又それら分野に関連して本邦で催された国際的学会についてもその主なものを簡単にまとめてみた。(著者抄録)
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臨床眼科 64(9) 1587-1592 2010年9月目的:非結核性抗酸菌の治療薬リファブチンの内服中に発症したぶどう膜炎2症例の報告。症例:いずれも女性で,64歳と81歳である。1例は25年前に多発性骨髄腫があり,5年前に非結核性抗酸菌による肺炎が発症し,肺アスペルギルス症が続発し,2ヵ月前からリファブチンなどの投与を受けていた。他の1例は60年前に結核に罹患した。4年前にMycobacteriumによる呼吸器感染があり,3ヵ月前からの再発に対しリファブチンなどで加療中であった。所見:両症例とも,前房蓄膿を伴うぶどう膜炎が右眼にあった。リファブチンの投与を中止し,1例には硝子体手術を行った。それぞれ2日後と10日後に眼内炎は鎮静化した。結論:これら2症例での汎ぶどう膜炎はリファブチン内服が原因であったと推定され,投薬中止で治癒が得られた。(著者抄録)
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臨床眼科 64(6) 991-996 2010年6月目的:非壊死性前部強膜炎に対するトリアムシノロンアセトニド結膜下注射の効果の報告。対象と方法:前部強膜炎9例11眼を対象とした。全例がステロイド薬の内服または点眼で改善しなかった。関節リウマチが2例2眼,再発性骨軟化症が1例2眼にあった。全例にトリアムシノロンアセトニド2〜4mgの結膜下注射を行い,2〜4週間後に改善しない症例には追加注射を行った。注射後4ヵ月までの経過を追跡した。結果:11眼すべてで強膜炎が鎮静化した。2眼では追加注射を必要とした。鎮静化までのトリアムシノロンアセトニドの総量は平均5.3±2.2mgであった。3眼で強膜炎が再発したが,同様な治療で鎮静化した。4眼で強膜が菲薄化した。眼圧上昇と明らかな白内障の進行はなかった。結論:非壊死性前部強膜炎にトリアムシノロンアセトニドの結膜下注射が奏効した。長期的な副作用についてはさらに検討を要する。(著者抄録)
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日本の眼科 80(1) 21-24 2009年1月眼科治療の近未来に関して、白内障、緑内障およびぶどう膜炎について簡単に述べた。今年の話題としては、白内障は多焦点眼内レンズ、緑内障は新しいプロスタグランジン関連点眼薬、ぶどう膜炎では、特にベーチェット病に対する抗TNFαモノクローナル抗体製剤が、その中心となると考えられる。(著者抄録)
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帝京医学雑誌 31(6) 331-334 2008年11月背景:眼トキカラ症はToxocara canisの眼内への幼虫移行症で、若年者に多いとされている。診断は典型的な眼底所見(硝子体混濁、網膜前膜、限局性の網脈絡膜滲出斑、網膜肉芽腫様病変)に加えて血清や眼内液中の抗体価測定が用いられる。今回、血清抗体価検査は陰性であるにもかかわらず、硝子体液中の抗体価高値により診断された眼トキソカラ症の一症例を経験したので報告する。症例:29歳女性。右眼の飛蚊症と羞明を主訴に来院。初診時右眼の視神経乳頭の鼻上側に白色滲出斑と網膜前膜を認めた。犬の飼育歴から眼トキソカラ症を疑い、血清抗体価検査を行ったが陰性であった。硝子体混濁の増加傾向が見られたため硝子体手術を行い、硝子体液中の抗トキソカラ抗体価を測定したところ、高値であったため眼トキソカラ症と診断した。駆虫療法を6週間行い、白色滲出斑は瘢痕化した。結論:眼トキソカラ症では、血清学的検査が陰性であっても、眼内液の抗体価は高値を示すことがある。眼トキソカラ症のスクリーニング検査として血清抗体価検査が広く行われているが、本症例のような血清学的検査が陰性である症例があることに注意する必要がある。(著者抄録)
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JAPANESE JOURNAL OF OPHTHALMOLOGY 51(3) 239-240 2007年5月
共同研究・競争的資金等の研究課題
25-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 2021年4月 - 2024年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2021年4月 - 2024年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2019年4月 - 2022年3月
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厚生労働省 厚生労働省科学研究費補助金 2020年4月 - 2022年3月
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AMED AMED難治性疾患実用化研究事業 2020年4月 - 2022年3月