佐藤 優実子, 山口 博紀, 高井 大哉, 北山 丈二, 大久保 滋夫, 矢冨 裕
日本臨床検査自動化学会会誌 40(5) 603-609 2015年11月
核酸増幅法のTRC法によるCEA mRNA定量検査の基礎的検討と、臨床的有用性を評価した。胃癌症例の腹腔内洗浄液から抽出したRNAの品質指標となるRNA Integrity Number(RIN値)は平均7.76であり、このRIN値と内部標準遺伝子(PBGD mRNA)発現量との間に相関は認めなかった。TRC法の性能評価では、希釈直線性はCEA mRNA、PBGD mRNAとも良好であった。同時再現性は陽性判定時間の変動係数:CVはCEA mRNAで0.8〜6.1%、PBGD mRNAで0.5〜3.2%であり、日差再現性のCVはそれぞれ6.9〜9.6%、2.9〜9.1%であった。TRC法とRT-PCR法との間に正の相関を認めた(r=0.937)。胃癌腹膜播種例の腹腔内洗浄液245検体中細胞診陽性が54検体で、そのCEA mRNA陽性率は88.9%であった。CEA mRNA陽性検体のROC曲線下のAUCは0.83で、カットオフ値をCEA mRNA発現量5400copiesとすると感度69%、特異度84%で細胞診陽性を予測できた。