宮谷 博幸, 吉田 行雄, 牛丸 信也, 工藤 康孝, 本田 英明, 村山 淳子, 澤田 幸久, 中島 嘉之, 宇賀神 卓広, 落合 香織, 鷺原 規喜, 中村 郁夫
自治医科大学紀要 29 193-200 2006年12月1日
症例 48歳男性 2004年4月に急性膵炎にて膵頭部のnecrosectomyの既往あり。術後,外来にて経過観察中に膵頭部に8cm大の膵仮性嚢胞が出現した。膵嚢胞圧迫による閉塞性黄疸および肝機能障害を生じたため,2005年4月加療目的に入院した。入院後EUS下に胃体下部後壁より膵嚢胞を通電穿刺,6F pig-tailカテーテルを経鼻的に嚢胞内に留置しドレナージを施行した。穿刺時に胃内腔側に出血を認めたが,自然止血された。2週間後,経鼻カテーテルを抜去し,ガイドワイヤー下に7F,3cm長の両端pigtail biliary stentを留置した。その後,黄疸および膵嚢胞は消失し,検査成績も正常化した。外来にて11ヶ月間観察中であるが,膵嚢胞の再発なく経過良好である。閉塞性黄疸を合併した膵仮性嚢胞症例は比較的稀であり,手術やPTBDを併用した経乳頭的治療,経皮嚢胞ドレナージなどの報告はあるが,EUS下ドレナージのみにより治療し得た症例報告は検索範囲で存在しないため,今回報告する。