萩原 佐江子, 桑田 知之, 渡辺 尚, 泉 章夫, 小田切 幸平, 大口 昭英, 松原 茂樹, 鈴木 光明
栃木県産婦人科医報 30(2) 118-122 2003年10月
症例1(37歳,初産婦).自然妊娠による二絨毛膜性双胎であり,入院時のdiscordancy rateは9.1%であったが,分娩時には30.3%にまで増加し,胎盤間血管吻合のため双胎間に生じた血流差が原因と推察された.症例2(30歳,1経産).排卵誘発剤にて妊娠した二絨毛膜性双胎であり,妊娠初期のdiscordancy rateは10%前後であったが,出生時には41.6%に及び,臍帯の卵膜付着が原因と考えられた.両症例は妊娠初期の超音波検査にて診断され,その原因は胎盤・臍帯(胎児付属物)異常によるものであった.また,過去11年間に経験した20%以上のdiscordancyを伴う二絨毛膜性双胎について検討した.その結果,discordancyの推定原因では臍帯の付着異常が最多であり,discordancy児のNICU入院率は有意に高かった.二絨毛膜性双胎の妊娠管理に際してはdiscordancyの有無を正しく診断し,discordancyを有する症例では臍帯付着異常,染色体異常,胎児形態異常などの精査が不可欠であると考えられた