小林 聡幸, 加藤 敏
自治医科大学紀要 34 11-19 2012年3月1日
自治医科大学精神科への初回入院統合失調症患者の平均13年予後研究のデータを用い,そこに後方視的に調査した精神病未治療期間(DUP)を加えて,DUPと患者の背景因子・病像,DUPと13年予後の相関を検討した。DUPの平均は8.7カ月,中央値が1カ月であった。検討に当たっては,DUPの長短に応じて,DUPが14日未満(実際には数日内に収まる)の無DUP群と,14日以上の有DUP群との二群で比較した。DUPと背景因子の関連,DUPと病像の関連ともに,有意な所見はなかった。DUPと予後の関係については,統計的有意ではないが,無DUP群に予後良好な症例が多い傾向がみられた。