小林 亮子, 西多 昌規, 安田 学, 齋藤 慎之介, 小林 聡幸, 加藤 敏
臨床精神医学 44(8) 1129-1134 2015年8月
昼夜を通して1日の活動量や睡眠状態を、長期間にわたって自動的に記録できる活動量計を治療に導入したことで、睡眠障害や過活動の改善に一定の成果を得た神経性やせ症の35歳の女性患者と17歳の女性患者の2症例を報告した。35歳の患者に対し、活動量計の計測記録を行ったところ、患者は眠れないと訴えていたが、活動計の記録より、中途覚醒は頻回ではないことが分かった。患者に実際にはきちんと睡眠が取れていることをフィードバックした。入院4ヵ月時点で、食行動も落ち着き、睡眠も改善し、処方薬も減量となり退院となった。17歳の患者に対しては、活動量計を装着したところ、行動範囲を病棟内に制限しているのにもかかわらず、活動が亢進傾向であることが分かった。面接で具体的な消費カロリーを説明し、歩数、運動カロリー、消費カロリーともに減少した状態が維持できるよう指導した。活動量計を使用し、得られたデータを通して患者に治療的内省を促し、一定の治療効果を得た。