南 浩一郎, 佐多 竹良, 平野 清幸, 松本 尚浩, 重松 昭生, 花桐 武志, 白日 高歩
日本臨床麻酔学会誌 12(4) 560-563 1992年 筆頭著者
高度な気道狭窄のある症例では,術中に換気不能に陥る危険性があり,麻酔管理に当たっては,気道の確保が問題となる.今回,気道狭窄を有する気管腫瘍患者に対する気管形成術に際し,マスクによる補助呼吸下の全身麻酔に部分体外循環を併用することを計画した.術中,偶発的に両側開胸になり,高炭酸血症となったため,体外循環の灌流量を増加させた.しかし,脱血カニューレが左大腿静脈より1本しか挿入されていなかったため,2,000ml/min以上の脱血ができず,気管内挿管による用手的呼吸管理が行なわれるまで,高炭酸血症を改善することは不可能であった.今後は,脱血や送血を十分に確保するために,動・静脈カニューレの本数を増やすことなどを検討する必要があるように思われた.