阿部 謙一, 南 浩一郎, 西村 昌泰, 本田 美樹, 佐多 竹良, 重松 昭生
日本臨床麻酔学会誌 21(1) 46-48 2001年 責任著者
Angelman症候群は重度精神遅滞,てんかん,容易に起こる笑い,失調性歩行,小頭と大きい下顎をもつ特異的な顔貌などを特徴とする遺伝性疾患で,下顎の突出と巨舌がみられる.症例は4歳,男児.身長104cm,体重14kg.1歳6ヵ月時に,睡眠時無呼吸を指摘され,両側口蓋扁桃摘出とアデノイド切除術が予定された.麻酔導入はセボフルランの自発呼吸下で行い,気管挿管は容易にできた.術中の呼吸,循環動態に問題はなく無事に手術を終了した.本症候群の麻酔管理には重度精神遅滞に対する導入時の鎮静,小頭と巨舌による上気道閉塞対策,筋弛緩薬の作用増強などに注意する必要がある.