宮崎 邦夫, 細野 達也, 大門 皇寿, 中山 雅之, 曽田 学, 榎本 宗浩, 間籐 尚子, 中屋 孝清, 鈴木恵理, 中澤 晶子, 卯木 希代子, 石井 義和, 田島 俊児, 辻田 章博, 小林 晃, 山沢 英明, 坂東 政司, 大野 彰二, 杉山 幸比古, 蘇原 泰則, 河田 浩敏
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 27(5) 420-420 2005年7月25日
症例は52歳男性. 41歳時に肺結核のため抗結核療法を施行. 2003年1月に右下肺炎像を認め, 喀疾よりM. szulgaiを複数回検出し抗結核薬を投与するも改善不良なため2004年3月に当科紹介となった. 右上肺野巨大空洞, 右下肺炎像を認め, 抗結核薬を継続し炎症所見改善, 抗酸菌塗抹陰性化を認めた. 肝機能障害のため抗結核薬を中止したところ, 肺炎が再燃し入院となった. 抗結核薬再開に反応せず気管支鏡を施行した. 灰白調痰を多量に認め, 右下葉気管支末梢より, 空洞内の菌塊が直接確認できた. 組織学的にアスペルギルス菌塊を確認し, 抗真菌療法施行後に右肺胸膜全摘術を施行した. 術後経過は良好で前医へ転院となった. 本例では抗酸菌による肺実質の破壊, 空洞への交通を合併し, アスペルギルスが腐生性に増殖したと考えられた. また, 気管支鏡にて空洞内のアスペルギルス菌塊が直接確認でき, 貴重な症例と考えられ報告する.