三浦 正義, 下田 直彦, 原田 浩, 小川 弥生, 久保田 佳奈子, 笹木 剛志, 堀田 記世彦, 岩見 大基, 森田 研, 渡井 至彦, 関 利盛, 富樫 正樹, 平野 哲夫, 野々村 克也
移植 41(6) 551-558 2006年12月10日
著者らはフローサイトメトリーT細胞クロスマッチ(FTXM)陽性で、補体依存性細胞障害T細胞クロスマッチ(CDC-TcXM)陰性症例に限り、これを移植適応として検討した。12例に関する臨床病理学的検討を行った結果、1)早期の移植腎喪失例はなく、早期の急性拒絶も4例(30%)に見られたのみであった。2)慢性拒絶に移行しつつあると考えられる症例など、病理所見に異常が継続している症例も見受けられたが、短期的には良好な成績が得られた。3)詳細な抗体モニタリングおよび定期移植腎生検により病態把握を行うことで、FTXM陽性腎移植の短期、中期成績は良好であり、リツキシマブは安全に使用可能で脾摘を回避することができた。