富田 凉一, 五十嵐 誠悟, 池田 太郎, 越永 従道, 萩原 紀嗣, 藤崎 滋, 柴田 昌彦, 福澤 正洋
日本大腸肛門病学会雑誌 53(3) 131-134 2000年3月
潰瘍性大腸炎と大腸腺腫症の5症例 (男性3例, 女性2例, 10~15歳, 平均13.0歳) について, J型回腸嚢肛門吻合術後のsoilingの病態解明を目的に, 直腸肛門内圧検査法により, 回腸旗閉鎖術後1年目 (A群) と2年目 (B群) での新直腸肛門機能について, 対照8症例 (C群 : 男性5例, 女性3例, 12~18歳, 平均15.6歳) を用いて比較検討した. その結果, A群では4例 (80%) にsoilingを認めたが, B群ではsoilingは認められなかった. 新直腸 (A,B群)・直腸 (C群) 肛門内圧検査では, A群はB,C群に比較して明らかに肛門管最大静止圧と肛門管最大随意収縮圧が低下を示した. したがって, 術後1年目までのsoilingの原因として, 内・外肛門括約筋の手術操作による筋や支配神経の損傷が考えられ, 2年目ではその機能が改善しsoilingは治癒するものと思われた.