長崎 瑛里, 前岡, 川島 弘之, 花田 学, 上原 秀一郎, 池田 太郎, 越永 従道
小児外科 50(4) 407-410 2018年4月
4歳男児。出生時より臍部の膨隆を認め、3歳時に臍ヘルニアと便秘の診断をされ、圧迫法とグリセリン浣腸を行った。治療開始1ヵ月後に腹部膨満および臍部の圧迫綿球のずれを認め、3cm大に固く膨隆していた。腹部超音波により、臍部への腸管脱出とヘルニア嚢内の軽度腹水を認めた。腸管は用手還納が困難なため、非還納性臍ヘルニアと診断し、緊急手術となった。ヘルニア嚢内には黄色透明腹水が貯留し、約5cmの小腸が嵌入していた。腸管は壊死を認めなかったが、うっ血・浮腫を認めたことから嵌頓と診断した。白線を頭側に5mm切開することで嵌頓腸管は腹腔内に還納可能となり、腸管のうっ血と浮腫は改善を認めた。その後、ヘルニア門を閉鎖し、皮弁による臍形成を施行した。術後は経過良好で術後5日目退院した。