越永 従道, 星野 真由美, 井上 幹也, 後藤 博志, 杉藤 公信, 池田 太郎, 萩原 紀嗣
小児外科 36(4) 507-513 2004年4月
先天性胆道拡張症(CBD)分流手術後膵炎の経過観察上の問題点を検討した.対象は,CBD65例中術後に膵炎の徴候を呈した8例で,術後の臨床経過と膵管造影所見を検討した.手術は初回に肝外胆道切徐,肝管空腸Roux-Y吻合術(標準手術群)が6例(女性5例,男性1例),初回に内瘻手術後標準手術(内瘻手術群)が2例(女性)であった.標準手術群では術後平均7.5年で全例とも腹痛発作で発症し,内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)で共通管の拡張5例,腹側膵管の拡張4例,S管の拡張3例を認め,膵管拡張のない症例はなかったが,拡張が体部膵管,尾部膵管に及ぶ重症例はなかった.内瘻手術群では術後1年,2年で繰り返す腹痛が出現し,ともに術後8年のERP,術中造影で全膵管系の著明な拡張を認め,標準手術に加え乳頭形成術を施行したが,膵管の拡張は増大し膵病変は進行性で,慢性膵炎と診断された