細谷 好則, 澁澤 公行, 佐久間 和也, 上野 勲夫, 大木 準, 長島 徹, 高澤 泉, 小林 伸久, 腰塚 史朗, 土屋 一成, 和気 義徳, 永井 秀雄, 金澤 曉太郎
自治医科大学紀要 22 163-172 1999年12月
1990年1月から1998年12月迄,当科で施行した胃癌手術症例の臨床病理学的検討を行った.残胃癌症例,内視鏡的粘膜切除(EMR)施行症例,(腺)扁平上皮癌等の特殊組織症例は今回の検討から除外した.対象症例は1008例(男=685例,女323例)で,平均年齢は63歳であった.全症例の5年生存率は70.9%であった.胃癌取扱い規約に基づく進行度別の5年生存率は,stage Ia=98.7%,Ib=92.5%,II=80.5%,IIIa=53.6%,IIIb=44.2%,IVa=0%,IVb=4.30%であった.stage Iでは良好な治療成績得られたが,癌の根治性を損なうことなく,患者のquality of lifeを重視した治療法の選択が望まれる.stage IIとIIIの進行癌では,D2以上の系統的リンパ節郭清による病巣の完全なる切除を行うことが重要と考えられた.stage IVの高度進行癌は予後不良で,新たな治療法の確立が望まれる