基本情報
- 所属
- 自治医科大学 医学部 医学教育センター 医療人キャリア教育開発部門 教授 (特命教授)東北大学 大学院医学系研究科 消化器病態学分野 准教授
- 学位
- 博士(医学)(2015年3月 東北大学)
- J-GLOBAL ID
- 201801017707199790
- researchmap会員ID
- B000302281
<臨床経験に立脚した、社会の問題を解決するエビデンスの構築と、シミュレータ開発および学習法の開発>
1. 地域医療の経験を背景にし、内科学一般とくに消化器内科学を研究の基盤としています。医学博士は「東日本大震災後の消化性潰瘍の増加とその特徴」に関する臨床研究で取得し、精神的ストレスは、消化性潰瘍の独立した成因であり、災害時潰瘍出血の危険因子となることを報告しました。現在も臨床の課題を克服すべく、コホートを含む臨床研究とCochrane Review memberとしてシステマティックレビューを行っており、エビデンスの実臨床への還元を目指しています。2019年7月よりCochrane Upper GI and Pancreatic diseases(その後Cochrane Gutに名称変更)のEditorとなりました。COVID-19状況下の意思決定支援として、Paul Moayyedi教授の指導下で、免疫不全者や小児におけるワクチン接種の効果に関してのエビデンス集積を行いました。(COVID-END: COVID-19 Evidence Network to support Decision-making in Canada)。
東日本大震災時の出血性潰瘍増加をきっかけとして、出血を伴う観血的内視鏡処置の学習環境の課題を明らかとし、そこから新規シミュレータ開発とそれらを用いた問題解決型シミュレーション教育の推進をしています。
医学教育学会主催の第43回富士研WSにも参加し、医学教育の基本とこれからの在り方に関して学んでおり、2023年4月から自治医科大学医学教育センター医療人キャリア教育開発部門を担当し、卒前卒後をつなぐキャリア教育を模索しています。また2.と関連して災害の経験を通した医療者としてのプロフェッショナリズムに関する講義を継続的に行っております。
<災害時の経験と人脈をきっかけに、領域横断的な災害医療人材の育成>
2. 2008年岩手宮城内陸地震(M7.2)では震源地に近接する栗原中央病院での急性期トリアージと初期治療そしてDMAT受け入れを経験しました。また2011年東日本大震災(M9.0)では、南三陸町公立志津川病院で勤務医として15mを超える地震津波災害に被災、患者・住民避難とその後の災害医療体制構築に関わりTIME誌「世界で最も影響力のある100人」に選出されました。以降、災害医療領域の中でこれまで重視されてこなかった支援を受け止める「受援」の在り方を提言しています。さらに、被災した人間として困難に向き合うレジリエントな社会を目指し、国内外で経験と知見を共有する講演活動・いのちの教育を継続しています。2024年現在で講演はのべ250回を超え、2万3千人超の聴講者へメッセージを伝えています。
2019年10月より文部科学省補助金事業(平成30年度選定)「課題解決型高度医療人材養成プログラム」"コンダクター型災害保健医療人材の養成プログラム"の運営業務に携わり、社会に提案できる医療人材育成を進めています。2024年1月の能登半島地震においても自治医科大学同窓会支援チームの立ち上げおよび事務局を担当し受援体制構築と被災地内医療機関の疲弊を防ぐ取り組みを主導しました。
<クロスアポイントメントを用いた大学×大学連携/臨床×教育連携>
3. 文部科学省が推進するクロスアポイントメント制度の事例として、2023年4月より東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野でのシミュレータ研究開発を准教授として継続しつつ、自治医科大学医学教育センター医療人キャリア教育開発部門の特命教授として両方常勤職を務め、領域横断的かつ大学横断的な活動を実践すべく取り組んでいます。どちらの所属においても周囲の理解と協力の下でいくつものプロジェクトを進めていますので、研究力や医工連携に強い東北大学と、臨床と医療人教育に強みのある自治医科大学の連携構築としても発展できるよう努めています。
<リンク先:シミュレータ開発におけるプレスリリース記事>
侵襲的内視鏡手技シミュレータの社会実装 デンカと東北大学の産学連携「Medical Rising STAR®」プロジェクト
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/04/press20230425-01-denka.html
出血合併症の再現を含む 胆膵内視鏡シミュレータモデルを開発 産学連携「Medical Rising STAR」プロジェクト第2弾
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/02/press20240219-02-mrs.html
<リンク先:TEDxTaipei 2014講演 被災とレジリエンスについて>
http://tedxtaipei.com/talks/2014-takeshi-kanno/
※メディア関連出演の記録は社会貢献活動欄の末尾に、東北大学医学部広報一條様のご助力で一覧を作成し掲載しています。
<リンク先:コンダクター型災害保健医療人材の養成プログラム>
https://www.dcnd.hosp.tohoku.ac.jp/
研究キーワード
5経歴
11-
2023年4月 - 現在
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2023年4月 - 現在
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2019年10月 - 2023年3月
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2020年8月 - 2021年3月
学歴
2-
2011年4月 - 2015年3月
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1999年4月 - 2005年3月
委員歴
7-
2023年10月 - 現在
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2018年8月 - 現在
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2013年7月 - 現在
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2019年7月 - 2024年10月
受賞
6-
2024年10月
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2017年10月
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2013年10月
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2011年5月
論文
64-
Microorganisms 12(7) 1324-1324 2024年6月28日 査読有り最終著者責任著者The gastrointestinal (GI) tract harbors trillions of microorganisms known to influence human health and disease, and next-generation sequencing (NGS) now enables the in-depth analysis of their diversity and functions. Although a significant amount of research has been conducted on the GI microbiome, comprehensive metagenomic datasets covering the entire tract are scarce due to cost and technical challenges. Despite the widespread use of fecal samples, integrated datasets encompassing the entire digestive process, beginning at the mouth and ending with feces, are lacking. With this study, we aimed to fill this gap by analyzing the complete metagenome of the GI tract, providing insights into the dynamics of the microbiota and potential therapeutic avenues. In this study, we delved into the complex world of the GI microbiota, which we examined in five healthy Japanese subjects. While samples from the whole GI flora and fecal samples provided sufficient bacteria, samples obtained from the stomach and duodenum posed a challenge. Using a principal coordinate analysis (PCoA), clear clustering patterns were identified; these revealed significant diversity in the duodenum. Although this study was limited by its small sample size, the flora in the overall GI tract showed unwavering consistency, while the duodenum exhibited unprecedented phylogenetic diversity. A visual heat map illustrates the discrepancy in abundance, with Fusobacteria and Bacilli dominating the upper GI tract and Clostridia and Bacteroidia dominating the fecal samples. Negativicutes and Actinobacteria were found throughout the digestive tract. This study demonstrates that it is possible to continuously collect microbiome samples throughout the human digestive tract. These findings not only shed light on the complexity of GI microbiota but also provide a basis for future research.
-
Clinical and experimental nephrology 2024年6月13日BACKGROUND: The beneficial effects of oral supplements with alkalinizing agents in patients with chronic kidney disease (CKD) have been limited to the severe stages. We investigated whether two types of supplements, sodium bicarbonate (SB) and potassium citrate/sodium citrate (PCSC), could maintain renal function in patients with mild-stage CKD. METHODS: This was a single-center, open-labeled, randomized cohort trial. Study participants with CKD stages G2, G3a, and G3b were enrolled between March 2013 and January 2019 and randomly assigned by stratification according to age, sex, estimated glomerular filtration rate (eGFR), and diabetes. They were followed up for 6 months (short-term study) for the primary endpoints and extended to 2 years (long-term study) for the secondary endpoints. Supplementary doses were adjusted to achieve an early morning urinary pH of 6.8-7.2. We observed renal dysfunction or new-onset cerebrovascular disease and evaluated urinary surrogate markers for renal injury. RESULTS: Overall, 101 participants were registered and allocated to three groups: standard (n = 32), SB (n = 34), and PCSC (n = 35). Two patients in the standard group attained the primary endpoints (renal stones and overt proteinuria) but were not statistically significant. There was one patient in the standard reduced eGFR during the long-term study (p = 0.042 by ANOVA). SB increased proteinuria (p = 0.0139, baseline vs. 6 months), whereas PCSC significantly reduced proteinuria (p = 0.0061, baseline vs. 1 year, or p = 0.0186, vs. 2 years) and urinary excretion of 8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (p = 0.0481, baseline vs. 6 months). CONCLUSION: This study is the first to report supplementation of PCSC reduced intrarenal oxidative stress in patients with mild-stage CKD.
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iGIE 3(2) 230-236 2024年6月 査読有り筆頭著者責任著者
MISC
114-
月刊薬事 2021年2月臨時増刊号【どんな薬剤・合併症・病態・患者背景にも対応できる 周術期の薬の使い方パーフェクトガイド】 63(3) 495-500 2021年2月<Key Points>・酸関連疾患としての逆流性食道炎と胃十二指腸潰瘍に対する、基本的な疾患の成り立ちを理解したうえで、術後合併症特有の機序を知り治療方針へつなげることが重要である。・術後合併症としては周術期の侵襲ストレスに伴う影響と、術式や吻合といった上部消化管手術に関連した影響の2つの側面から考えると理解しやすい。・酸分泌抑制薬のなかで特にプロトンポンプ阻害薬(PPI)が薬物治療の中心となる。PPIは長期使用においても比較的安全性が高いと考えられるが、漫然とした使用は避けるべきで、リスクとベネフィットのバランスを常に考慮する。・腸管吻合に関連した術後逆流性食道炎と吻合部潰瘍・吻合部狭窄は胃液のみならず十二指腸液の影響を受ける。薬物治療抵抗性の場合は内視鏡治療や再手術を要することもある。(著者抄録)
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胃と腸 56(2) 163-173 2021年2月 査読有り<文献概要>欧米ばかりでなく本邦においてもBarrett食道腺癌の増加が報告されているが,表在型Barrett食道腺癌に対する内視鏡治療後の予後が良好なことも明らかになっている.したがって,Barrett食道腺癌をいかに早期に発見できるか,すなわちBarrett食道腺癌のsurveillanceが重要となっている.欧米では,多くのガイドラインで2〜5年に1度の内視鏡検査によるsurveillanceが推奨されているが,本邦ではsurveillanceの方法が確立していないのが現状である.しかしながら,本邦でもLSBEからの発癌率は欧米からの報告と同程度であることが報告されており,LSBEはsurveillanceの対象になると考えられる.今後,本邦におけるBarrett食道腺癌のsurveillance法の確立が望まれる.
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救急医学 42(8) 931‐940 2018年8月
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胃と腸 53(3) 291-298 2018年3月好酸球性食道炎は何らかの原因により,食道上皮内で好酸球が浸潤することによる慢性炎症が続くことで,つかえ感や嚥下障害などの症状を呈する疾患である.アトピー性皮膚炎や気管支喘息といった病気を合併する頻度が高く,その病因には食物などをアレルゲンとするTh2型の慢性炎症が関与している可能性が考えられている.最終的な診断は生検病理組織による好酸球浸潤の証明と自覚症状によって下されるが,特徴的な内視鏡所見から本症を強く疑うことが可能な場合が多く,その内視鏡像を知っておくことは有用であると考えられる.本稿では好酸球性食道炎の内視鏡診断に関して解説する.(著者抄録)
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胃と腸 52(7) 900-906 2017年6月非Helicobacter pylori(H.pylori)・非薬剤性潰瘍(特発性潰瘍)はわが国でも潰瘍全体の12%を占めると考えられ,患者背景や好発部位に注目し診療する必要がある.除外診断にガストリノーマ,Crohn病,感染などを確認する.また外傷や熱傷など身体的ストレスに加え,災害時ストレスも独立して潰瘍をひき起こすことが明らかとなった.災害時特殊環境下の出血性胃潰瘍は多発・胃体部発生も多いが,平常時の特発性潰瘍は胃前庭部〜十二指腸球部に多くみられ,動脈硬化性疾患を複数持つ患者がリスクとなり,難治・易再発を呈することもしばしばある.H.pylori除菌後(または自然除菌後)と,H.pylori未感染胃に発生する特発性潰瘍の違いに関しては報告が少なく,より大規模な検証が求められる.(著者抄録)
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日本ヘリコバクター学会誌 19(1) 8-11 2017年5月helicobacter pylori(H.pylori)感染とNon-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)が消化性潰瘍の2大成因であることはよく知られている。本邦における患者背景の変化に伴い、この両者が陰性のnon-H.pylori、non-NSAID潰瘍は注目されており、現在では全体の12%を占める。non-H.pylori、non-NSAID潰瘍の中には、ウイルス感染、慢性炎症性疾患、ガストリノーマに伴うZollinger-Ellison症候群、そしてストレスなど複数のリスク因子が含まれている。重症外傷など身体的ストレスは、過去の研究から独立した消化性潰瘍のリスク因子として認識されている。精神的ストレスに関しては、東日本大震災時にH.pylori陽性潰瘍も陰性潰瘍も増加したが2大成因の陰性患者割合の有意な増加から、災害時精神的ストレスは独立して潰瘍を引き起こすと新たに考えられるようになった。災害時出血性潰瘍は発災2週間にピークを持つため、ハイリスク者の層別化や治療介入の余地がある。一方、日常生活における精神的ストレスで潰瘍形成がされるかどうかに関しては現状では証明が困難で、一層の研究が求められる領域である。(著者抄録)
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心身医学 57(10) 999-1004 2017年背景:ヒトにおいて精神的ストレスのみで潰瘍が発症するかは再検証が必要である。目的:東日本大震災後の消化性潰瘍の成因、特徴を平時と比較検討する。方法:発災直後から3ヵ月間、前年同時期に宮城県内7施設において新たに診断された消化性潰瘍症例を後ろ向き研究として集積した。震災後症例において非出血群をコントロールとし潰瘍出血の危険因子を求めるロジスティック回帰分析を行った。結果:震災後3ヵ月間で潰瘍症例は約1.5倍、特に出血性潰瘍は2.2倍に増加、成因としてH.pylori陰性かつ非NSAID群が24%を占め、前年の13%から有意に増加した。災害後出血性潰瘍は、多発し胃に多く、輸血を要した患者が多かった。避難環境は、独立した災害時潰瘍出血の危険因子であった(OR4.4)。結論:東日本大震災後に著明に消化性潰瘍が増加し、H.pylori陰性かつ非NSAID群の割合の有意な増加から、大規模災害時の精神的ストレスは独立して消化性潰瘍を引き起こす可能性が初めて示された。(著者抄録)
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JOURNAL OF GASTROENTEROLOGY AND HEPATOLOGY 31 351-352 2016年11月
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JOURNAL OF GASTROENTEROLOGY AND HEPATOLOGY 31 12-12 2016年11月
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JOURNAL OF GASTROENTEROLOGY AND HEPATOLOGY 31 21-21 2016年11月
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Gastroenterological Endoscopy 58(Suppl.1) 552-552 2016年4月
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GASTROENTEROLOGY 150(4) S483-S483 2016年4月
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Geriatric Medicine 54(4) 347‐351-351 2016年4月プロトンポンプ阻害薬(PPI)を代表とする酸分泌抑制薬の登場により、胃・十二指腸潰瘍の治療奏効率は飛躍的に改善した。Helicobacter pylori(H.pylori)除菌療法の保険適応の拡大に伴う急速な普及、若年者では感染率そのものの低下もあり、H.pylori陰性潰瘍への対応が今後の課題である。高齢者において抗血栓や鎮痛目的に非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の使用が広く行われて、NSAIDs内服に関連した消化性潰瘍の割合は大きくなっている。また、災害時ストレスなど特殊な状況下で発生する潰瘍も注目されつつある。H.pylori陰性かつNSAIDs陰性の特発性潰瘍はわが国においても全体の1割近くを占め、動脈硬化性の背景疾患をもつ患者に発症しやすく、再発しやすいなどの特徴をもつことから、高齢者における潰瘍診療では特に注意を要する。(著者抄録)
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Nihon rinsho. Japanese journal of clinical medicine 73(7) 1209-1214 2015年7月
書籍等出版物
12講演・口頭発表等
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Asian Pacific Digestive Week 2024 2024年11月23日
共同研究・競争的資金等の研究課題
10-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 2023年4月 - 2028年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2023年4月 - 2027年3月
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文部科学省 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2022年4月 - 2025年3月
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公益財団法人 鈴木謙三記念医科学応用研究財団 令和4年度調査研究助成金 2022年12月 - 2024年
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公益財団法人 艮陵医学振興会 医学研究奨励賞 2022年9月 - 2024年