川野, 亜津子, 江守, 陽子
母性衛生 52(4) 464-471 2012年1月 査読有り
少子・核家族世帯の増加率上昇は,家族成員相互のケア能力および子どもの養育能力の脆弱化に関連しているといわれており,さまざまな社会問題を生み出している。本研究はそのような環境下にある母親に対する心理援助の適切な時期について検討する目的で調査を行った。産後12週までの母親91名を対象とし,産後3日,1,2,3,4,8,12週の7時期においてPOMS,STAI,GHQによる縦断的調査を行った。分析は分娩経験と産後時期の2要因について2元配置分散分析,多重比較を行った。T-A(緊張-不安),D(抑うつ-落ち込み),F(疲労),C(混乱),精神健康度は産後3日〜12週にかけて漸減傾向があり,さらに産後2週,4週において変動を示す心理であった。A-H(怒り-敵意)は産後3日〜12週にかけて著しい変動がみられず,V(活気)は産後3週以降12週にかけ上昇するという推移を示していた。また,GHQ,STAIも漸減傾向を示すなか,産後2週および4週に変動を示していた。産後の母親は,産後2週および4週において「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み