菅野 敦, 佐藤, 賢一, 朝倉 徹, 鹿志村, 純也, 下瀬川 徹
消化器科 41(3) 250-256 2005年9月 招待有り
当科において自己免疫性膵炎(AIP)と考えられた14例のうち,日本膵臓学会の臨床診断基準に合致したのは7例(男6例・女1例,44〜78歳:A群),非合致は7例(男6例・女1例,55〜86歳:B群)であった.診断基準の必須項目である「膵管狭窄1/3以上」を満たさなかったのはB群のうち4例で,これらはIgG4高値を診断の根拠とした.うち1例は膵腫大も認めず,胆管病変が中心であった.診断基準で示された血液検査6項目の陽性率をみると,全体的に陽性率は高くなく,最も高かったのは必須項目ではない「IgG4 135mg/dl以上」であった.γグロブリン高値またはIgG高値を認めず,IgG4高値を認めた症例が3例あり,これらはIgG4の上昇の程度が軽度で,高IgG血症の基準を満たしていなかった.すなわち,高γグロブリン血症および高IgG血症はIgG4の上昇を反映しているものと考えられ,IgG4高値がAIPの診断に重要であることが示唆された