松宮 美沙希   小泉 大   笠原 尚哉   遠藤 和洋   笹沼 英紀   佐久間 康成   堀江 久永   細谷 好則   北山 丈二   佐田 尚宏   
日本消化器外科学会雑誌 54(8) 538-547 2021年8月
症例は48歳の男性で,約1ヵ月前に左手外傷に対して鼠径部より採皮,植皮術を施行され,退院後より腹部違和感を自覚していた.腹部症状が増悪し意識障害も出現したため前医を受診し,造影CTで広範な門脈血栓症を認め,入院となった.翌日,下部消化管出血を認め,当院転院となった.転院時造影CTで上腸間膜静脈血栓症と診断された.小腸壊死は明らかでなく,抗凝固療法を開始し,約40日の経過で血栓はほぼ消失した.経口摂取開始後に嘔吐が出現したため,小腸造影および小腸3D-CTを撮影したところ上部空腸の器質的狭窄...