桂田 健一   市田 勝   長田 淳   新保 昌久   尾本 和   島田 和幸   苅尾 七臣   
心臓 44(6) 691-697 2012年
トラスツズマブは乳癌などに使用される分子標的薬(抗ヒトモノクローナル抗体)であり, 副作用として心毒性が知られているが, その頻度や機序などに関して不明な点が多い. 症例は, 41歳, 女性. 左乳癌に対して乳房温存術を施行され, 補助化学療法としてドキソルビシンに続いてトラスツズマブの投与を開始された. 全18回の投与のうち14回を経過した時点で本症例はうっ血性心不全を発症した. ドキソルビシンの総投与量は220mg/m2であり適正投与量であることから, 心不全の原因としてドキソルビシン...