基本情報
- 所属
- 自治医科大学 附属病院消化器センター・外科部門 病院助教
- 研究者番号
- 40646329
- ORCID ID
https://orcid.org/0000-0002-6393-6290
- J-GLOBAL ID
- 202001018799499420
- researchmap会員ID
- R000014561
論文
25-
日本大腸肛門病学会雑誌 74(8) 447-452 2021年8月目的:大腸憩室出血治療の現状を調査し,外科治療必要症例の頻度や臨床的特徴を検討した.対象と方法:2010年1月から2020年4月までに当院で経験した大腸憩室出血194例を対象とし後方視的に検討した.結果:手術は7例(4%)に行われていた.手術理由は内視鏡止血困難5例,内視鏡+IVR治療困難2例,循環動態不安定3例であった(重複あり).全例とも上行結腸で,経過中にショック状態となり輸血を受けていた.手術は開腹の結腸右半切除が行われていた.左右結腸の多発例で,抗凝固薬を内服していた1例は術後3年間に3度血便を認めたが保存的に治癒した.結語:当院における憩室出血治療は概ねガイドラインに沿って行われていた.手術例では,ショック状態で輸血例であったが,周術期治療成績は良好であった.切除範囲については術後のQOLを考慮に入れた総合的な判断が必要と考えられた.(著者抄録)
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日本大腸肛門病学会雑誌 74(6) 374-378 2021年6月壊死型虚血性大腸炎は非常に致死率の高い疾患だが複数の併存疾患があり術前の全身状態も悪い症例に対し集学的治療で救命できた1例を経験したので報告する.症例は63歳女性で,SLEに対しステロイド,下肢静脈血栓症に対しワーファリンを内服していた.46歳子宮頸癌に対し放射線化学療法施行し,49歳膀胱腟直腸瘻となり回腸人工肛門造設され結腸は空置されていた.入院1週間前から腹痛が出現し徐々に体動困難となり救急搬送された.著明な代謝性アシドーシス,腎不全,凝固異常を呈し,腹部CTで腹腔内遊離ガスを認め穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.開腹時,下行結腸脾彎曲部からS状結腸にかけての壊死型虚血性大腸炎と診断し全結腸切除術を施行した.術後,敗血症,急性腎不全,残存直腸縫合不全など多彩な合併症を認めたが,エンドトキシン吸着療法や持続血液透析濾過療法などの集学的治療を行い,術後53日目軽快退院となった.(著者抄録)
MISC
92-
日本大腸肛門病学会雑誌 70(抄録号) A226-A226 2017年9月
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日本腹部救急医学会雑誌 37(5) 803-807 2017年7月症例は68歳,男性。自殺目的に家庭用アルカリ性洗剤を約200mL服用し,直後より嘔吐と心窩部痛を認め救急搬送となった。服用後10時間で気道狭窄症状が出現し気管切開術を行った。同日1回目の上部消化管内視鏡検査(以下,EGD)を行い,食道の潰瘍および胃前庭部の全周性潰瘍を認め障害度III度と判断した。第7病日のEGDで下部食道亜全周性びらん,胃前庭部潰瘍による壁変形を認め瘢痕狭窄のハイリスクと判断しステロイドとトラニラストの内服を開始した。第17病日のEGDで食道びらん・胃前庭部変形の改善を認めた。経口摂取開始後は消化器症状なく経過し第22病日に退院となった。腐食性食道炎・胃炎による消化管障害は,服用薬物の種類,濃度,量によって種々の病態を呈する。誤飲後早期に障害程度を把握し,狭窄のリスクが高いと判断した場合はステロイドとトラニラストの予防内服を考慮する必要がある。(著者抄録)
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日本臨床外科学会雑誌 74(11) 3068-3072 2013年11月上腸間膜静脈(SMV:superior mesenteric vein)血栓症は,急性虫垂炎など腹腔内感染が原因の一つとされ,非特異的な症状のため診断に難渋する症例がある.今回われわれは急性虫垂炎術後に敗血症を呈したSMV血栓症の1例を経験したので報告する.症例は62歳,男性.右下腹部痛を主訴に当院へ緊急搬送となり,膿瘍形成を伴う急性虫垂炎の診断で,同日緊急手術を施行した.術後9日目に退院となったが,術後14日目に悪寒戦慄を伴う発熱が出現し来院した.来院時,敗血症を認め,腹部造影CTでSMV〜門脈内の血栓形成を認めた.腸管壊死を疑う所見は認めず,抗凝固療法と抗生剤投与を中心とした保存的治療で症状は速やかに改善した.急性虫垂炎後に発症したSMV血栓症に対する1治療例を経験したので報告する.(著者抄録)
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移植 46(6) 599-605 2011年12月15歳女児。日齢38、胆道閉鎖症に対し葛西手術を施行した。9歳時、脾機能亢進症に対し部分的脾動脈塞栓術を施行した。11歳6ヵ月時に脳膿瘍を契機に肺血流シンチで肝肺症候群と診断した。12歳1ヵ月時、母親の肝左葉をグラフトとする生体肝移植術を施行した。術後58日目に門脈血栓を認め、抗凝固療法と血栓溶解療法を施行したが、門脈狭窄を認めたため、術後63日目に経皮経肝的門脈バルーン拡張術を施行した。移植後36ヵ月時、定期外来検査にて門脈吻合部狭窄の再々発を認めたため、経皮経肝的門脈バルーン拡張術目的に入院となった。吻合部狭窄はやや改善したが残存し、造影剤のwashoutは依然として遅延したままであった。脾腎シャントに対してはコイル塞栓による経皮経肝的塞栓術を行い、難治性吻合部狭窄に対してはステント留置を行う方針とした。術後6ヵ月時現在、ステントの位置は問題なく、門脈血流は良好である。