基本情報
- 所属
- 自治医科大学 附属病院消化器センター・外科部門 病院助教
- 学位
- 博士(医学)(2024年8月 自治医科大学)
- 研究者番号
- 40646329
- ORCID ID
- https://orcid.org/0000-0002-6393-6290
- J-GLOBAL ID
- 202001018799499420
- researchmap会員ID
- R000014561
論文
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Surgery today 54(8) 857-865 2024年8月PURPOSE: Low anterior resection syndrome (LARS) causes devastating symptoms and impairs the quality of life (QOL). This study investigated the incidence and risk factors of LARS and their association with the QOL in patients with lower rectal tumors. METHODS: Patients who underwent anus-preserving surgery for lower rectal tumors between 2014 and 2019 and who had anal defecation between 2020 and 2021 were surveyed. The LARS score measured severity, and the QOL was evaluated using the Japanese version of the Fecal Incontinence Quality-of-Life Scale (JFIQL). The primary endpoint was the incidence of Major LARS, and the secondary endpoints were risk factors and association with the JFIQL. RESULTS: Of 107 eligible patients, 82 (76.6%) completed the LARS survey. The incidence of Major LARS was 48%. Independent risk factors included neoadjuvant chemoradiotherapy (CRT) and a short interval (< 24 months after surgery; odds ratio, 4.6; 95% confidence interval: 1.1-19, both). The LARS score was moderately correlated with the JFIQL generic score (correlation coefficient: - 0.54). The JFIQL scores were significantly worse in the Minor and Major LARS groups than in the No LARS group. CONCLUSIONS: Major LARS was found in 48% of lower rectal tumors, and independent risk factors include neoadjuvant CRT and a short interval. The QOL was significantly impaired in patients with both Minor and Major LARS.
MISC
92-
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 38(2) 39-49 2022年【目的】肛門温存手術に伴って造設した一時的ストーマの転帰とストーマ閉鎖前の直腸肛門機能検査・排便造影検査(以下、検査)の有用性を検討する。 【方法】2014~2019年に肛門温存手術に伴って一時的ストーマを造設した患者を対象に、その転帰と検査結果に関して後方視的に検討した。 【結果】解析対象は97例(年齢中央値62歳、男72例)で、一時的ストーマは91例(94%)で閉鎖された。検査は11例に施行され、全例で新直腸容量低下を認めた。非閉鎖6例のうち4例(67%)は原病悪化や吻合部狭窄、縫合不全が理由であったが、2例(33%)は閉鎖を希望しなかった。その2例のうち検査結果が比較的良好であった1例は検査結果を非閉鎖の理由に挙げ、検査結果が不良であった1例は検査結果以外の理由で非閉鎖を希望した。 【結論】検査は、その結果だけにしたがってストーマ閉鎖の意思決定がなされるわけではないが、閉鎖後の排便障害に関する患者との話し合いの契機になることで、ストーマ閉鎖に関するShared Decision Makingに役立つと考える。
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Medicina 57(9) 1438-1446 2020年8月<文献概要>Point ◎便秘は,症状によって排便回数減少型と排便困難型に分類される.◎便秘は,病態によって大腸通過正常型便秘症,大腸通過遅延型便秘症,便排出障害に分類される.◎排便回数が3回未満/週で硬便の場合は排便回数減少型,特に大腸通過遅延型便秘症である可能性が高い.◎食事摂取量,特に食物繊維の摂取量が少なくて排便回数が少ない場合は,大腸通過正常型である可能性が高い.◎重症度評価として,症状はConstipation Scoring System(CSS)を,便秘特異的QOLは日本語版Patient Assessment of Constipation Quality of Life Questionnaire(JPAC-QOL)を用いる.
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内科 126(1) 9-15 2020年7月<文献概要>▼下剤の適応は,大腸の蠕動運動能が低下している大腸通過遅延型便秘症である.▼非刺激性下剤を毎日内服して,排便回数を1回/2日〜2回/日,便性状をブリストル便性状スケールでタイプ3〜5になるように調節し,調節できるまでは刺激性下剤をレスキューとして頓用使用する.▼大腸通過遅延型便秘症の重症度はさまざまなので,非刺激性下剤の第一選択は,微調節が可能な酸化マグネシウム,モビコール,ラグノスNFゼリーのいずれかを使用する.▼非刺激性下剤は,保険局医療課長通知(保医発)に従って,薬価の低い酸化マグネシウムが第一選択である(小児ではモビコールも可).それが無効か使用できない場合にのみ,新規便秘症治療薬を使用する.
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自治医科大学紀要 42(42) 29-34 2020年3月症例は55歳女性。4年前にC型慢性肝炎と診断されたが治療を自己中断していた。心窩部痛を主訴に来院。CTで肝S8に径8cmの低濃度腫瘍、肝内胆管拡張を認め肝内胆管癌と診断。右3区域切除を予定したが、術中に肝門板左側まで腫瘍浸潤を認め背景にC型肝炎も併存していたため1期的切除は困難と判断。2期的拡大肝右葉切除の方針へ変更し右門脈結紮術を施行した。治療目的に肝動注化学療法を3回施行したが効果なく、経過中に腫瘍の右横隔膜浸潤を認めたため根治切除は不能と判断、肝動脈化学塞栓療法(TACE)へ変更した。TACE1回目直後から腫瘍マーカーは低下し治療効果を認めた。発症から1年9ヵ月間に計7回のTACEを施行し腫瘍はコントロールされていたが、発症から2年2ヵ月目に腫瘍が増大し4年2ヵ月目に死亡した。遠隔転移のない局所進行肝内胆管癌に対し門脈結紮後にTACEを併施し有効な治療効果を得た1例を経験したので報告する。(著者抄録)
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日本大腸肛門病学会雑誌 72(10) 583-599 2019年10月2017年に本邦初の慢性便秘症診療ガイドラインが発行され,その中で「便秘」は,「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義された.また便秘症は,症状によって排便回数減少型と排便困難型に,病態によって大腸通過遅延型,大腸通過正常型,便排出障害に分類された.慢性便秘症の病態は多数あるので,正しい診断に基づいて適切に治療する必要がある.初期診療では,症状と身体診察で排便回数減少型と排便困難型を鑑別した上で,食事・生活・排便習慣指導や慢性便秘症治療薬で治療する.それで症状が改善しなければ,専門施設で大腸通過時間検査や排便造影検査にて病態を診断するが,その際には,真の便秘ではない機能性腹痛症,機能性腹部膨満症,排便強迫神経症を鑑別することが重要である.専門的治療にはバイオフィードバック療法,直腸瘤修復術,ventral rectopexy,結腸全摘・回腸直腸吻合術などがある.(著者抄録)
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自治医科大学紀要 41 7-13 2019年3月右側結腸手術の周術期管理に、Enhanced Recovery After Surgeryプロトコル(ERAS)を導入したので短期成績を報告する。2014年6月から2017年10月に行われた右側結腸手術症例をERAS群、2010年1月から2014年5月の症例を従来群とし、後方視的に検討した。ERAS群では、機械的前処置の省略、術直後の胃管抜去、早期経口摂取開始を新たに採用した。ERAS群182例(腹腔鏡103例、開腹79例)、従来群202例(腹腔鏡84例、開腹118例)であった。腹腔鏡手術では、ERAS群と従来群で手術関連因子、術後合併症に差は認めなかった。開腹手術では、表層性の創部感染の発生率はERAS群で有意に高かった(ERAS群12.7%:従来群2.5%)が、Clavien-Dindo分類2以上の術後合併症はERAS群で有意に低かった(ERAS群3.8%:従来群18.6%)。右側結腸手術において当科のERASプロトコルは安全に導入可能である。(著者抄録)
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日本消化器病学会雑誌 115(11) 967-976 2018年11月慢性便秘症の多くは保存的療法で改善するが、限られた症例では外科治療を必要とし、なおかつ外科治療によって症状が著明に改善する場合もある。主な外科治療には、高度大腸通過遅延型便秘症に対する大腸切除術、直腸瘤に対する直腸瘤修復術、直腸重積に対するventral rectopexyやstapled transanal rectal resection、難治性排便障害に対する順行性洗腸法がある。慢性便秘症に対する外科治療では、たとえ手術で解剖学的に正常と思われる状態に修復しても、必ずしも症状が改善するとは限らないので、適応症例を適切に選択した上で患者に手術の目的と意義を丁寧に説明することが重要である。(著者抄録)