山本 博徳, 喜多 宏人, 砂田 圭二郎, 宮田 知彦, 矢野 智則, 岩本 美智子, 小俣 俊明, 新畑 博英, 刀根 幸夫, 藤枝 真司, 阿部 太郎, 井戸 健一, 菅野 健太郎
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy 47(12) 2672-2680 2005年12月20日
大腸におけるESDを議論する場合,その特殊性をよく理解しておく必要がある.計画的分割切除を行うか,ESDを行うかはリスクとベネフィットの比率をよく考慮して決定するべきである. 大腸においてESDを安全かつ確実に行うためには局注剤としてヒアルロン酸ナトリウムの使用が必須といっても過言でない.ヒアルロン酸ナトリウムの局注により,薄く柔らかい大腸壁に厚みと硬さを与え,安全にESDを行うためのセーフティマージンが得られるようになる. 粘膜の切開,剥離には先端系の処置具を用い,透明フードを併用するのが大腸で安全にESDを行うこつであり,粘膜隆起を維持する戦略と,重力をうまく利用することも重要な要因である. 適切な手技の選択により,大腸においても安全にESDを行うことは可能であり,今後の処置具,手技の改良により,ますます大腸のESDが実用的なものとなっていくことを期待する.