新藤 雄司, 野田 弘志, 加藤 高晴, 遠山 信幸, 牛丸 信也, 宮谷 博幸, 吉田 行雄, 小西 文雄
埼玉県医学会雑誌 44(1) 18-21 2009年11月
70歳男。体重減少、四肢の痺れ、味覚障害を自覚し、CT検査で甲状腺、膵頭部の腫瘍を指摘された。甲状腺の針生検を行ったが、悪性所見は得られず、膵頭部腫瘍の精査目的に紹介となった。頸部CT検査で甲状腺腫瘍を認めた。超音波内視鏡下針生検を行い、病理学的検査で小細胞癌と診断した。PETCT検査では同部に異常集積を認め、上下部消化管内視鏡検査で異常は認めなかった。膵原発小細胞癌の診断で手術を行った。病変と膵頭部の境界は明瞭で、剥離可能であった。総肝動脈幹リンパ節の腫大と考え、同リンパ節を摘出した。病理組織学的所見で、原発巣不明小細胞癌と診断した。腫瘍摘出後、腫瘍随伴症状の改善は認めなかった。退院後、術後補助化学療法を行う予定であったが、全身状態の低下があり、化学療法は行わず、5ヵ月の生存が得られている。