川合 謙介, NARITA Koji, NAKAYAMA Hitoshi, TAMURA Akira
Neurologia medico-chirurgica = 神経外科 37(2) 184-187 1997年2月15日
モヤモヤ病における頭蓋内出血は、先行するウィリス動脈輪閉塞により血行動態が変化し、二次的に発生すると考えられているが、我々は血管撮影上の変化が一側性かつ非常に軽度の段階で脳室内出血を呈したモヤモヤ病の症例を経験した。症例は19歳日本人男性で入学試験受験中に突然の頭痛で発症。CTで脳室内血腫を認めたが、脳血管撮影では、一側性に内頚動脈遠位部を中心に非常に軽度の狭窄性変化を認めるのみだった。外科的治療は行なわず保存的に経過をみたが、18ヵ月後に再び脳室内出血を来した。この時の脳血管撮影では、両側性にウィリス動脈輪の閉塞⋅狭窄性変化にモヤモヤ血管新生を伴う典型的なモヤモヤ病の所見であった。