蒔田 芳男, 岡本 年男, 藤枝 憲二, 田島 敏広
ホルモンと臨牀 52(10) 977-979 2004年10月1日
著者版ルポイド過形成症患児で,エクソン7のコドン258が終止コドンに変わる変異(Q258X)を持つ21例を対象とし,Q258X変異が創始者効果を持つか検討した.内訳は,Q258X変異のホモ接合体患児が10例で,Q258X変異との複合型ヘテロ接合体患児が11例である.正常コントロールには,正常人96例を用いた.3SNPsと3マイクロサテライトマーカー計6つのマーカーで構成されるハプロタイプは,Q258X変異を持つ患児の72.9%において共通でありQ258X変異の周辺50kbにおいて保存されていることが明らかになった.Q258X変異を持つハプロタイプTGC-311-323-313は,日本人集団において多いハプロタイプでないばかりか,正常96例では検出されない稀なハプロタイプであることが判明した.このことは,Q258X変異の共通祖先が,日本人集団由来ではなく,その他の地域から由来していることが示唆された