研究者業績

小林 聡幸

コバヤシ トシユキ  (Toshiyuki Kobayashi)

基本情報

所属
自治医科大学 医学部 精神医学講座 教授
(兼任)部長
学位
博士(医学)(自治医科大学(JMU))

J-GLOBAL ID
200901035976132617
researchmap会員ID
1000220760

論文

 117
  • 小林聡幸, 佐藤謙伍, 佐藤謙伍, 小林祐介, 小林祐介, 岡田剛史, 岡崎翼, 岡崎翼, 安田学, 塩田勝利, 須田史朗
    総合病院精神医学 30(4) 359‐364 2018年10月15日  
  • 岡田剛史, 小林聡幸, 佐藤謙吾, 稲川優多, 安田学, 塩田勝利, 須田史朗
    精神科治療学 33(7) 871‐877 2018年7月19日  
  • 小林聡幸
    月刊精神科 32(6) 525‐531 2018年6月28日  
  • 小林聡幸
    精神科治療学 33(2) 149‐154 2018年2月19日  
  • 稲川優多, 小林聡幸
    精神科治療学 33(1) 57‐61 2018年1月19日  
  • 齋藤慎之介, 小林聡幸
    臨床精神病理 38(3) 305‐314 2017年12月30日  
  • 清水加奈子, 小林聡幸
    臨床精神病理 38(3) 291‐303 2017年12月30日  
  • 佐藤伸秋, 小林聡幸, 佐藤謙伍, 福田和仁
    栃木精神医学 37 38‐45 2017年12月25日  
  • 岡田剛史, 安田学, 小林聡幸, 須田史朗
    栃木精神医学 37 31‐37 2017年12月25日  
  • 小林聡幸
    栃木精神医学 37 16‐30 2017年12月25日  
  • 菅原一晃, 菅原一晃, 小林聡幸
    栃木精神医学 37 46‐60 2017年12月25日  
  • Medical Research Archives 2017年9月  査読有り
  • 小林 聡幸, 齋藤 慎之介
    臨床精神病理 38(1) 108-108 2017年4月  
  • Kanako Shimizu, Senichiro Kikuchi, Toshiyuki Kobayashi, Satoshi Kato
    PSYCHOGERIATRICS 17(1) 17-24 2017年1月  査読有り
    Aim: Persistent complex bereavement disorder (PCBD) was proposed as a bereavement-related clinical category in the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th edition, which included the disorder among conditions for further study. This is an independent clinical category in which intense yearning for the deceased continues for at least 12 months. However, the diagnostic features are still inconclusive. We suggest a variation of PCBD for making category from our clinical experiences. Method: We presented two representative case studies in which grief caused by bereavement was observed as the root of the pathological condition. We examined the disorder's pathological conditions, diagnoses, and appropriate treatments based on the cases we experienced. Results: Both cases involved elderly women who lost their spouse through illness and experienced prolonged grief for an extended period, resulting in hospital admission. Based on the two cases, we believe that PCBD can also include a psychotic type with hallucinations as a major symptom. While studying PCBD, we took into account specific cultural characteristics of Japanese people and their present day social environment. Conclusions: Such cases would be suggestive when determining the PCBD clinical category in the future. PCBD is considered to be clinically very useful, especially in an extremely aged society as seen in developed countries, including Japan.
  • 菅原 一晃, 井上 弘寿, 井上 かな, 小林 聡幸, 加藤 敏
    栃木精神医学 36 39-43 2016年12月  
    治療抵抗性うつ病に対して修正型電気痙攣療法(m-ECT)などの手段が推奨されているが、十分な設備を備えていない病院も多い。このような例に対して、従来、国内唯一の抗うつ薬点滴製剤であるclomipramineが用いられてきたが、近年の使用経験は少なく、有効性の検証はほとんどなされていない。今回われわれはclomipramineがどのような患者に有効か、あるいは悪影響があるかに関して10年間の治療抵抗性うつ病入院患者について後方視的に調査した。対象82例中30.5%に改善が認められた。改善に関与する因子はなく、悪化に関連する因子として精神病性の特徴をもつことが抽出された(オッズ比=3.7)。副作用の発現率は39%で抗コリン性の副作用が多かった。m-ECTを行えない施設や状況においては、精神病性の特徴を伴わない治療抵抗性うつ病に対して有用な治療手段の1つと考えられる。(著者抄録)
  • 小林 聡幸
    栃木精神医学 36 31-38 2016年12月  
    老年期認知症の語新作ジャルゴンの症状にfluvoxamineを投与して著効した1例を報告した。症例は86歳の女性。数ヵ月まえから記憶障害が目立つようになり、神経内科で混合型認知症と診断された。インフルエンザによる全身状態の悪化からの回復後、ジャルゴンに節を付けて唱え続ける言語症状が出現した。この症状を滞続言語類似のものと考え、前頭側頭型認知症に準じて、fluvoxamine 50mgを投与したところ、すみやかに改善した。本例の言語症状は節を付けて唱え続ける点で滞続症状の要素があると思われたが、言語面では語新作ジャルゴンと考えられた。本例では変性性認知症と脳の虚血性変化があいまって、側頭葉機能の変調が生じたが、その病態は神経化学的にはセロトニンの低下が関与していたものと推測される。(著者抄録)
  • 菅原 一晃, 海野 まみ, 大塚 公一郎, 大澤 卓郎, 松本 健二, 齋藤 暢是, 小林 聡幸, 加藤 敏
    栃木精神医学 36 25-30 2016年12月  
    自治医科大学附属病院では2003年より腎移植診療を開始しているが、同時期からドナー候補者に対して第三者による意思確認として全例精神科医師による面談が行われ、移植手術の適否についての判断をしてきた。今回われわれは2009年1月から2014年6月の期間に生体腎移植でのドナー候補に対する精神科医による面接116件に関して、当院倫理委員会に提出した「腎移植ドナーの意思決定に関する報告書」を後ろ向きに検討し、ドナーの腎臓提供の動機などの項目を調査し当院での生体腎移植の実際について報告した。レシピエントとドナーの関係の種類や提供の動機などを調査した。夫婦間、親子間などほぼ1親等間による提供で占められており、提供の動機としては「これまでのお礼、恩」や「今後も一緒に生きていきたい」というようなポジティブさを感じさせるものが最も多い一方で、ある種の義務感を感じさせる回答も多かった。臓器移植は臓器を「贈与」するものであるが、ジャック・デリダによればこれは不可能な試みでもある。ドナーは多くの精神的な問題を移植前から移植後まで常に突きつけられるが、レシピエントほどにはケアされない可能性がある。そのため専門家に連絡・相談できる体制が重要である。(著者抄録)
  • 齋藤 陽道, 小林 聡幸, 岡崎 翼, 羅田 享, 安田 学, 清水 加奈子, 牧口 暁子, 岡田 剛史, 小林 祐介, 阿部 隆明, 加藤 敏, 須田 史朗
    栃木精神医学 36 20-24 2016年12月  
    自治医科大学附属病院では2001年5月の開始から2012年8月までの集計において223例(うち再移植9人)の生体肝移植が施行されている。その生体肝移植においてドナー候補者に第3者による意思確認として精神科による面談が行われている。本稿では精神科面談の結果、再度移植コーディネーター等との話し合いが必要とした症例を提示しつつ、移植医療における精神科の重要性について述べた。(著者抄録)
  • 小林 聡幸
    栃木精神医学 36 7-19 2016年12月  
    ノルベルト・ブルクミュラー(1810-36)はピアノ学習者には名高い《25の練習曲》の作曲者フリードリヒの弟である。彼らの父親はデュッセルドルフ市の音楽監督だったが、ノルベルト14歳の年に亡くなってしまう。しかし幸いなことに彼の才能を見込んだ貴族の財政的援助を受け、カッセルの作曲家ルイ・シュポアのもとで才能を開花させる。ところが、20歳の年、オペラ歌手の婚約者に裏切られた上、相手は急死し、失意のあまり、「てんかん発作」を起こすようになる。以後、デュッセルドルフで創作活動を続けるものの、26歳、湯治場で溺死する。てんかん発作によるとされたが、自殺という噂も流れた。彼の創作の頂点はこの精神的危機から亡くなるまでの数年であり、交響曲2曲、弦楽四重奏曲第4番、クラリネットとピアノのための二重奏曲などの優れた作品がこの時期に書かれている。ブルクミュラーの創作時期は初期ロマン派の勃興期だが、彼の作品はすでに深いロマンティシズムを湛えており、ロマン主義の扉を開いた先駆者のひとりといえる。状況からみて彼の「てんかん」は心因性非てんかん発作の可能性が高く、その意味でヒステリーの文脈で理解しうる。この時代はシャルコーによる「ヒステリーの発見」前夜であるが、ブリケはヒステリーを情念の反復だとした。その情念とは「悪しき情念、耐えがたい感覚、愛情、そしてまた悲しい情念か、激しい情念」だという。このような記述はロマン派的表現とも重なる。つまり、ブルクミュラーにおいて、そして彼の時代において、激しい感情の表出という点で、ヒステリー発作とロマン派的表現は幸福な邂逅をみたのではないか。(著者抄録)
  • 岡田 剛史, 塩田 勝利, 小林 聡幸, 西多 昌規, 須田 史朗, 加藤 敏
    精神神経学雑誌 118(8) 570-583 2016年8月  
    【目的】肺炎は精神科入院における主要な身体合併症の1つである.しかし,その特徴や特有の重症化因子についての指摘は少ない.今回,精神科入院における院内肺炎と身体科における院内肺炎が同様であるかと,肺炎の精神科特有の重症化因子について検討した.【方法】過去7年間に自治医科大学精神科病棟内で発生した肺炎22例(平均63.3歳,男性9例,女性13例)に対して,後方視的にその特徴や喀痰培養の結果の検討を行った.重症度判定にはPSIを用いて,クラスI〜IIIを軽症群(n=15),クラスIV以上を中等症以上群(n=7)と判定し,PSI判定項目以外の因子(BMI,精神科治療年数および入院回数,GAFスコア,抗精神病薬量(chlorpromazine換算),benzodiazepine(Bz)系薬剤量(diazepam換算),抗パーキンソン薬量(trihexyphenidyl biperiden換算)について比較を行った.【結果】発症に先行して誤嚥のエピソードを認めたのは1例のみで,死亡例はなく,1例だけ人工呼吸器管理を要した.喀痰培養は18例で実施されており,起因菌としては肺炎球菌が5例で最多であり,4例で黄色ブドウ球菌を認めたが,MRSAや緑膿菌は認めなかった.中等症以上群では有意にBMIは低く(18.3±2.6 vs 21.2±3.5),入院回数は多く(3.4±3.3回 vs 1.1±1.4回),GAFスコア30以下は多かった(85.7% vs 33.3%).また中等症以上群で有意にBz系薬剤使用量および抗パーキンソン薬使用量は多かった[Bz(2.3±2.4mg vs 0.4±1.1mg;BP(2.3±2.4mg vs 0.4±1.1mg)].【考察】総合病院精神科病棟内の院内肺炎は細菌学的所見やその良好な予後,明らかな誤嚥性肺炎が少ないなど身体科の院内肺炎とは異なり市中肺炎に近い特徴がみられた.低BMI,入院回数が多い,GAFスコア30以下の精神状態コントロール不良な例や,Bz系薬剤および抗パーキンソン薬の使用量が精神科院内肺炎重症化に関与することが示唆された.(著者抄録)
  • 清水 加奈子, 安田 学, 小林 聡幸, 加藤 敏
    日本社会精神医学会雑誌 25(2) 106-113 2016年5月  
    【目的】大切な人の死は悲痛な体験であり、古来より喪の作業において種々の文化や宗教が大きな役割を果たしてきた。しかし現代においてそれらは機能せず、喪の作業は個々人に託される傾向にある。そのような中、今日の精神科臨床において、病態の中心に喪の作業不全が認められる事例が増えている印象がある。典型的な症例を提示し、このような病態に対して、現代の精神科臨床における介入の可能性について検討したい。【対象と方法】対象は、配偶者と死別後、悲嘆が遷延あるいは逸脱し、精神疾患の発症を惹起した高齢者3症例である。死別反応から精神科病棟に入院するまでの経過や要因、そして治療経過を記述の上、比較し、その特徴を抽出するとともに、現代社会の死別を取り巻く環境との関連において検討した。なお、本稿における症例は、特定を避けるために論旨に影響のない範囲で細部に改変を施してある。【結果と考察】3症例では、いずれも非自発的な受診であり、過去への後悔や罪悪感、夫婦2人暮らしから独居等への環境変化、周囲との悲哀の共感が乏しかったこと、希死念慮が強かったことや自殺の危険性、また治療としては、薬物療法が主体というより、環境への関わりが中心となり、そのため入院期間が長期に渡ること等が共通して認められた。特に死別体験から半年以上経過した2症例は病的悲嘆の状態である複雑性悲嘆と捉えられた。現代においては、超高齢化ならびに核家族化が進行し、高齢夫婦2人暮らしの家庭も数多く存在する。配偶者との死別後、突然独居生活となることも多く、その寂しさは計り知れない。また、周囲は瞬く間に忙しい日々にのまれ、死別の悲哀を誰かと共有する時間も限られる。このような状況の中、症例において提起された問題を踏まえながら、精神科医療が喪の作業の一端を担う可能性を検討した。(著者抄録)
  • 清水 加奈子, 小林 聡幸
    臨床精神医学 45(3) 349-356 2016年3月  
    複雑性悲嘆の状態と推測される自殺者遺族で、悲嘆を否認しながら気質因の認められない身体症状を呈し、そのために身体科から紹介され、精神科を受診することとなった60代女性と50代女性の2症例を報告した。症例1は60代女性で、主訴は動悸が止まらない、誰かがいないと不安で落ち着かないというもので、全般性不安障害と診断された。症例2は50代女性で、主訴は口が渇く、喉、陰部がひりひりする、というもので、身体表現性障害と診断された。2症例ともに、大切な他者との死別後その事実を否認するがごとく、多忙な日常を送っていた。肩の荷が降りたと本人が感じた矢先に、悲嘆との関連が自覚できない身体症状が出現したため、医療機関を受診した。症状の背景に死別の悲嘆が隠されており、「仮面複雑性悲嘆」とでもいうような状態で医療機関に辿り着いたと考えられた。それらの病態は、複雑性悲嘆と捉えることができ、悲嘆を精神療法的に扱うことによって、身体症状が徐々に軽減することとなった。
  • 岡田 剛史, 小林 聡幸, 水田 耕一, 安田 学, 須田 史朗, 加藤 敏
    総合病院精神医学 28(1) 35-41 2016年1月  
    2003年6月から2013年6月にかけて、自治医科大学附属病院移植外科において187件の小児生体肝移植(LDLT)が施行された。このうち、2014年11月において調査可能であった169例のドナーに対して、電話で研究についての説明を行い、同意が得られた167例に対して調査用紙を郵送し、回収した。研究内容は、ドナーの生活の質(QOL)を横断的に評価するものであった。122例から返送があり、有効回答は117例であった。移植からの経過期間は平均65.0ヵ月であった。ドナーのレシピエントとの関係は、母59例、父54例で、両親が回答の96.6%を占めた。ドナーの術後QOLは国民標準を大きく上回っていた。母または父といったレシピエントの転帰が不良であったことがドナーのQOLに影響している結果が見られ、生体肝移植ドナーの術後QOLにレシピエントの転帰が影響する可能性が示唆された。レシピエントの転帰が不良であったドナーには、より積極的な対応が必要だと考えられた。
  • 吉成 美春, 山家 邦章, 塩田 勝利, 小林 聡幸
    栃木精神医学 34-35 3-8 2015年12月  
    うつ病の診断で抗うつ薬を投与中にレビー小体型認知症(以下DLB)の診断が確定した症例を報告した。症例は68歳女性で、paroxetineを内服していたが抑うつ状態の悪化により昏迷状態を呈し入院治療を要した。抑うつ症状はmirtazapine投与により改善したが、入院中に幻視や認知機能の悪化を認め、レビー小体型認知症の診断が確定した。memantine投与により幻視や不安症状が改善し退院となった。2回のうつ病エピソードがDLBの発症や悪化に先行しており、抑うつ症状がDLB初期の支持的特徴であると捉えることができた。また、うつ病-認知症の移行領域に属した症例とみることも可能であり、老年期うつ病とDLBを含む認知症との強い関連を示唆していた。症状の改善には、うつ病と認知症の両側面からのアプローチが必要であり、それぞれの薬物治療で効果を得られた。(著者抄録)
  • 岡田 剛史, 稲川 優多, 井上 弘寿, 小林 聡幸, 加藤 敏
    精神医学 57(12) 997-1003 2015年12月  
    メンタルキャパシティ(MC)は一般臨床における患者の理解・同意能力を示す。MCへの配慮は患者のインフォームド・コンセント(IC)に際し重要であるが,本邦においてまだ十分に認識されているとは言いがたい。そこで本稿では乳癌術後に緊張病を呈した統合失調症の1例を通してICにおいてMCを考慮することの重要性について考察した。MCは理解・認識・合理的処理・表明の4要素からなる。本症例は表明能力を有し,ICは成功したかにみえたが,認知機能低下を背景とした理解および合理的処理能力の低さのため術後の身体変化についての説明が「不発」に終わったと考えられた。MCが低いと考えられる精神疾患患者に対するICにおいては患者のMCを考慮することが重要である。(著者抄録)
  • 海野 まみ, 清水 加奈子, 塩田 勝利, 小林 聡幸, 須田 史朗
    栃木精神医学 34-35 32-37 2015年12月  
    抗うつ薬内服が困難であった85歳女性の超高齢者妄想性うつ病患者に対して、修正型電気けいれん療法を安全に施行し寛解を得た一例を報告する。症例は25年程前にうつ病に罹患し寛解、以後再発なく経過していた。しかし特に誘因なくうつ病再発し活動性低下、拒食、拒薬、罪業妄想が出現し、脱水状態に至り入院した。入院後、抗うつ薬による薬物治療を試みるも内服できず、貧困妄想、心気妄想も新たに出現した。活動性低下とD-dimer高値を認め静脈血栓塞栓症が危惧され、fondaparinux natriumにより抗凝固療法を行いD-dimerが正常化したのち、m-ECTを開始した。m-ECT3回目には短パルス波治療器の最大出力量でもけいれん誘発できなかったが、caffeine内服で有効けいれんを得ることができ、m-ECTを計6回施行し有害事象なく終了した。施行後に妄想はすべて消失し内服や食事も可能となり、寛解を得ることができた。超高齢者では様々な身体疾患の併存症が多く、けいれん閾値が高い等の問題はあるが、併存症には十分対処を行い、けいれん閾値が高い場合にはcaffeine内服を行う等対策を行うことで安全かつ確実にm-ECTが実施できる。そのため高齢者でも必要時には躊躇なくm-ECTは選択されるべきである。(著者抄録)
  • 齋藤 陽道, 小林 聡幸, 菊地 千一郎, 齋藤 慎之介, 松本 卓也, 加藤 敏
    栃木精神医学 34-35 22-27 2015年12月  
    薬物療法の適応からしてうつ病性障害と双極性障害の鑑別は重要だが、とりわけ双極II型障害の場合の鑑別は容易でないことがある。しかし昨今、双極性障害の見落しへの注意喚起により、かえってその過剰診断が散見されるようになった。本稿では、双極性障害として治療されていたが改善を認めず、病歴の見直しによりうつ病性障害と判断し、抗うつ薬の増量や投与再開によって寛解に導くことができた2症例を報告する。そのうち1症例では近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)検査が診断変更のきっかけとなった。症例は30代と50代の女性で、それぞれ飲酒後の高揚、正常範囲と思われる気分変動が軽躁状態ととらえられたと思われ、背景には製薬会社の主導する疾患喧伝の影響も推察された。いずれも丁寧な問診によってうつ病性障害と判断できるものであったが、NIRS検査は補助診断としてその判断を補強する点で有用であると考えられた。(著者抄録)
  • 小林 聡幸
    精神科治療学 30(9) 1187-1193 2015年9月  
    妄想患者が治療に結びつくのは何らかの病識があるからだろうが、単純に考えれば妄想と病識は相容れない。病識自体が妄想の産物ということもある。妄想の主題にはさまざまなものがあるが、妄想性障害の典型は復権妄想であろう。患者はこの世において不当な目に遭っており、侵害された権利を回復しろと憤っている。背後にある感情はルサンチマンである。妄想の背後に価値を転倒としてのルサンチマンが存在するとみておくことは患者理解に有用である。患者は妄想によって環界あるいは社会と鋭く対立し、治療者がどっちつかずの態度をとることを許さないような迫力がある。しかし妄想にはどこか病識がなければ言えないような台詞が混じる。妄想を語れば語るほど強固な体系を築き上げていくような患者は例外的な妄想患者のエリートであって、恐らく妄想は語るほどに反復するだけになるか、菲薄化していくのだろう。そこに病識のような何かが生ずるのではないか。(著者抄録)
  • 吉成 美春, 西多 昌規, 小林 聡幸, 加藤 敏
    最新精神医学 20(5) 449-454 2015年9月  
    うつ病の状態評価には、構造化面接を前提とした評価尺度にも含まれる体重や睡眠といった生理的指標が、臨床現場でも有用であることが少なくない。しかし多忙な臨床業務の合間に、評価尺度を頻繁に評価することは困難である。今回わたしたちは、日中活動量と睡眠状態を客観的・非侵襲的に評価できるに活動量計(ライフコーダ)を用いて、うつ病の薬物療法の効果を経時的に評価できた2例を経験したので、報告する。2例ともaripiprazoleによる補助療法と鎮静系薬剤の調整によって、一過性の不眠はあったものの、抑うつ症状全般の改善をみた。活動計の記録によって患者も薬剤の効果を視覚的に把握できるので、治療意欲を高める効果も得られたと考えられた。(著者抄録)
  • 岡田 剛史, 齋藤 慎之介, 小林 聡幸, 加藤 敏
    精神科治療学 30(9) 1253-1257 2015年9月  
    30代で外傷性てんかんを発症し、10年以上phenytoin(PHT)投与がなされていた60代女性にみられたPHT中毒の症例を報告した。食欲低下と活動性低下を主訴に前医入院となり、うつ病の診断で抗うつ薬による加療が開始され軽快した。PHT血中濃度が6.6μg/mlと低値であったため、250mgから300mgへの増量がなされたのち、食欲低下と活動性低下が再度出現したためうつ病の再燃が疑われ当科転院となったが、PHTの血中濃度が42.2μg/mlと著明高値であり、PHT中毒と診断した。PHTの血中濃度の予測は困難なことが多く、症状は非特異的であるため、典型的な中毒症状を呈さない場合であっても、PHT使用者においては血中濃度測定や身体診察が欠かせないと考えられた。(著者抄録)
  • 清水 加奈子, 小林 聡幸, 加藤 敏
    臨床精神病理 36(2) 143-151 2015年8月  
    夫との死別後に抑うつ状態から"神"となった夫の命令幻聴が出現し、長期にわたりそれに従い続ける70代前半の女性例を経験した。愛する対象との別れが様々な葛藤を呼び覚まし、一過性に抑うつ感情や錯覚を生むことは死別反応として広く自明なことである。また、高齢者において、配偶者との死別からうつ病を発症することは決して珍しいことではない。しかし本症例では、最愛なる夫との死別の事態に直面後、夫との再会という願望と、罪責や自罰を主題とする心的葛藤が、外在化して長期にわたり出現し続けたという点に特徴があった。それは、単なる死別反応を超え、妄想性メランコリーや精神病性うつ病の要素を持ちながらも、主題を考慮に入れなければ慢性幻覚精神病のように幻覚が中心の病態であった。本稿では、力動的な観点を加えながら、精神病水準となった病的喪という文脈において全体像を把握した。そして、本症例を老年期精神病の中でも特徴的であると考え、報告をする。(著者抄録)
  • 小林 亮子, 西多 昌規, 安田 学, 齋藤 慎之介, 小林 聡幸, 加藤 敏
    臨床精神医学 44(8) 1129-1134 2015年8月  
    昼夜を通して1日の活動量や睡眠状態を、長期間にわたって自動的に記録できる活動量計を治療に導入したことで、睡眠障害や過活動の改善に一定の成果を得た神経性やせ症の35歳の女性患者と17歳の女性患者の2症例を報告した。35歳の患者に対し、活動量計の計測記録を行ったところ、患者は眠れないと訴えていたが、活動計の記録より、中途覚醒は頻回ではないことが分かった。患者に実際にはきちんと睡眠が取れていることをフィードバックした。入院4ヵ月時点で、食行動も落ち着き、睡眠も改善し、処方薬も減量となり退院となった。17歳の患者に対しては、活動量計を装着したところ、行動範囲を病棟内に制限しているのにもかかわらず、活動が亢進傾向であることが分かった。面接で具体的な消費カロリーを説明し、歩数、運動カロリー、消費カロリーともに減少した状態が維持できるよう指導した。活動量計を使用し、得られたデータを通して患者に治療的内省を促し、一定の治療効果を得た。
  • 小林 聡幸
    地域医学 29(8) 593-597 2015年8月  
  • Shinnosuke Saito, Hidenori Haruta, Toshiyuki Kobayashi, Satoshi Kato
    Psychosomatics 56(4) 419-422 2015年7月1日  査読有り
  • 齋藤 慎之介, 小林 聡幸
    日本病跡学雑誌 (89) 35-45 2015年6月  
    吉行淳之介は一貫して「性」をテーマにし続けた小説家であるが、彼の作品群には、独特で一見奇異とも思える、登場人物の対人距離・対人交流が認められる。「原色の街」での、娼婦・あけみは、世界とのあいだ、自分自身とのあいだに断層をつくり、短編「青い花」では、主人公が、喰う喰われるの人間関係を求める妻を置き去りにし、少年の日の思い出のなかに逃げ込んでいくが、いずれもシゾイド者の防衛とみなせる。危険で厄介な関係に徹底してかかわらないとすると、「鳥獣虫魚」での石膏色の人間・風物に示される、離人症的な、現実感の喪失が起こる。しかしながらそこで再び対象との関係を希求すると、今度は関係が濃密になりすぎることによる自己喪失の危険が待ち構える。このような対象関係におけるジレンマは、ガントリップがin and out programとして定式化した、シゾイド的葛藤の最も特徴的な点である。吉行自身の実生活では、蕩児あるいは寵児といった仮面で世間からの視線を巧みに韜晦し、さらに自己の内面を上述のようなフィクションとして切り離すというありかたで、シゾイドとしての自身の危険な感性・感受性を安全に表現し、また世界につなぎとめていたといえる。すなわち、彼の文学は精神医学的側面からするとシゾイド・パーソナリティの治療の場としての役割を持っていたと考えられた。(著者抄録)
  • 小林 聡幸
    日本病跡学雑誌 (89) 21-34 2015年6月  
    ジャン・シベリウスは20世紀前半に活躍した作曲家で、7つの交響曲、《フィンランディア》をはじめとした管弦楽曲は、今日、コンサートの重要なレパートリーである。シベリウスの父は夭折し、一家は破産するが、音楽の才能を示した彼は作曲家となる。作曲家として、そして自作を振る指揮者として国際的な名声が高まっていくなか、ヘルシンキでの荒れた生活を避け、1904年、ヘルシンキから27キロ北の田舎ヤルヴェンパーに、妻にちなんでアイノラと名付けられた家を建てて、残りの生涯をそこで過ごした。ところが、1926年の《タピオラ》と劇音楽《テンペスト》をほぼ最後に、脳出血のために91歳で亡くなるまで、およそ30年間、作品を生み出さなかった。この「ヤルヴェンパーの沈黙」は20世紀音楽史の謎のひとつである。これは断筆宣言なのではない。1920〜30年代にかけて、シベリウスはアメリカとイギリスで熱狂的な支持を受け、交響曲第8番を委嘱された。その第8を書いていると言い続けた30年なのである。本稿ではシベリウスをおおむね循環気質ととらえ、「ヤルヴェンパーの沈黙」について、病跡学的検討を試みた。(著者抄録)
  • 小林 聡幸
    臨床精神医学 44(5) 693-699 2015年5月  
  • Psychosomatics 2015年  査読有り
  • Takuya Matsumoto, Toshiyuki Kobayashi, Satoshi Kato
    PSYCHOGERIATRICS 14(2) 124-131 2014年6月  査読有り
    Background The length of hospital stay (LOHS) for elderly patients tends to be long. We aimed to identify factors related to long hospitalization periods for elderly Japanese patients with late-onset depression. Methods We retrospectively examined 133 patients with late-onset depression. Univariate and multivariate analyses were performed to confirm the relationship between each clinical feature and the duration of hospital stay. Results The mean LOHS was 83.9 +/- 55.6 days. On the basis of univariate analysis, we found that living as a housewife, death of a close relative or friend, recurrent depression, melancholic features, and treatment with electroconvulsive therapy, tricyclic or tetracyclic antidepressants or mood stabilizer were associated with a longer LOHS. Multivariate analysis showed that treatment with tricyclic or tetracyclic antidepressants, atypical antipsychotics were associated with prolonged LOHS. Conclusions These results suggest that job status, changes in household circumstances and the failure of initial treatment is responsible for the long LOHS in Japan.
  • Shinnosuke Saito, Toshiyuki Kobayashi, Satoshi Kato
    GENERAL HOSPITAL PSYCHIATRY 36(3) 291-295 2014年5月  査読有り
    Objective: To describe eating disorders inpatients with severe medical complications and elucidate the problems in managing them on a psychiatric ward. Method: Of the 111 eating disorders patients hospitalized on our psychiatric ward from January 2005 to December 2012, 9 had eating disorders with severe medical complications. Through chart review and computerized data collection, we retrospectively evaluated patient clinical data. Result: All 9 patients were women, with a mean age of 22.4+/-5.7 years, mean body weight of 26.2+/-3.0 kg, and mean body mass index of 10.5+/-1.5 on admission. Severe medical complications commonly seen were severe hypoglycemia, refeeding syndrome, coagulation abnormality, and severe liver dysfunction. Three patients died during hospitalization. All patients were managed mainly on the psychiatric ward despite their abnormally low body weight and severe medical complications. Conclusions: Patients with eating disorders, although physically serious, often need to be managed on a psychiatric ward, even at the risk of providing less than ideal care for their physical complications. It is important to assess patient status both physically and psychologically and to select an appropriate therapeutic environment for safe and effective treatment. (C) 2014 Elsevier Inc. All rights reserved.
  • Nobuyoshi Saito, Katsutoshi Shioda, Koichi Nisijima, Toshiyuki Kobayashi, Satoshi Kato
    NEUROPSYCHIATRIC DISEASE AND TREATMENT 10 865-867 2014年  査読有り
    Electroconvulsive therapy (ECT) is used for medication-resistant and life-threatening mental disorders, and therefore it occupies an important position in psychiatric treatment. ECT reportedly increases intracranial pressure and is suspected of increasing the risk of intracranial hemorrhage, especially in patients with hemorrhagic diseases such as hemophilia. A decrease in or loss of blood coagulation factors, including factor VIII and factor IX, are found in hemophilia A and B, respectively. Psychiatrists may hesitate to perform ECT on patients with bleeding tendencies, such as in hemophilia. Here, we report the successful use of ECT on a neuroleptic-resistant patient with schizophrenia and severe hemophilia A. We performed ECT 16 times supplemented with coagulation factor VIII to prevent intracranial and systematic hemorrhage. We administered factor VIII concentrates to the patient to keep factor VIII activity at 30%-40% during ECT. The patient did not show bleeding or other complications during the ECT sessions. We suggest that pretreatment with factor VIII can help manage the increased risks of intracranial and systematic bleeding during ECT that is present in patients with hemophilia A. The present report supports the idea of performing ECT safely on patients with hemophilia A by administering factor VIII.
  • J Psychol Clin Psychiatry 2014年  査読有り
  • Manabu Yasuda, Toshiyuki Kobayashi, Satoshi Kato, Koichiro Kishi
    PSYCHOGERIATRICS 13(4) 244-249 2013年12月  査読有り
    BackgroundAlthough the fourth edition of the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders abandoned the use of the specifier late-onset', a considerable number of studies have reported clinical characteristics of late-onset schizophrenia. Still, only limited research has been conducted on late-onset schizophrenia, especially in Asian countries. In this epidemiological study, the clinical characteristics of late-onset schizophrenia were examined in comparison with early-onset schizophrenia. MethodsAll patients with schizophrenia admitted to the psychiatric ward of Jichi Medical University Hospital between 1 April 1993 and 31 March 2006 were divided into two groups according to age at first onset: 40 years (late-onset group) and <40 years (early-onset group). The sex ratio, presence or absence of depression, schizophrenia subtype, premorbid character, marital history, and employment history at first onset were compared between the two groups. ResultsOf the 316 patients with schizophrenia identified, 38 patients were assigned to the late-onset group and 278 patients to the early-onset group. Mean age at onset was 23.9 8.2 years for all men and 28.0 +/- 13.5 years for all women. The late-onset group was characterized by more women, more paranoid type, more depressive symptoms, less introverted premorbid character, better premorbid adaptation and less neuroleptics. ConclusionThe characteristics of late-onset schizophrenia in Japan are in line those reported previously.
  • 齋藤慎之介, 佐藤守, 小林聡幸, 加藤敏
    精神神経学雑誌 115(7) 729-739 2013年7月25日  
  • 須田史朗, 井上弘寿, 井上かな, 佐藤和繁, 齋藤陽道, 松本卓也, 鈴木洋平, 宮田善文, 倉持素樹, 菊地千一郎, 塩田勝利, 小林聡幸, 岸浩一郎, 加藤敏
    精神神経学雑誌 115(5) 499-504 2013年5月25日  
  • 齋藤慎之介, 小林聡幸, 加藤敏
    精神神経学雑誌 115(4) 363-371 2013年4月25日  

MISC

 44

書籍等出版物

 16

講演・口頭発表等

 61

共同研究・競争的資金等の研究課題

 2