窪田賢輔, 藤澤聡郎, 秋山智之, 藤田浩司, 高橋宏和, 米田正人, 稲森正彦, 阿部泰伸, 桐越博之, 齋藤聡, 大城久, 稲山嘉明, 能登原憲司, 中島淳
消化器画像 8(5) 611-616 2006年9月
60歳女。2年前より肝胆道系酵素の上昇を指摘され、原因不明の慢性肝炎として経過観察されていた。ERCPで肝内胆管にび漫性の軽度の狭窄像と外側区域枝の若干の拡張を認め、中部胆管には狭窄像を認めたが、膵管に異常はなかった。腔内超音波所見と併せ硬化性胆管炎と診断し、ウルソデオキシコール酸600〜900mg/日内服を開始したが、1年後に黄疸が出現した。RCP所見で胆管拡張所見に乏しく、胆管の狭細像を認め、右胆管は閉塞していた。肝生検では門脈域に軽度の線維化と、リンパ球や形質細胞、好中球、組織球から成る炎症細胞浸潤があり、部分的なinterface activityを伴う硬化性胆管炎性変化を認めた。IgG4濃染陽性の形質細胞はきわめて少数であった。自己免疫性胆管炎と診断し、PSL 30mg/日よりの漸減投与を行った。その結果、1ヵ月後には血液生化学所見、ERCP像、生検所見の著明な改善を認めた。