基本情報
受賞
1論文
63MISC
16-
群馬医学 (106) 71-74 2017年12月81歳女性。大腸癌検診にて便潜血反応陽性を指摘され、精査目的に当院へ紹介となった。大腸内視鏡では肛門管に黒色の隆起性結節を認め、腰椎麻酔下で結節の切除生検を行い、病理組織学的に直腸肛門部悪性黒色腫と診断された。以後、腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術、D2郭清を施行し、左側にS状結腸の人工肛門を作製した。術後経過は良好で、再発や転移はみられていない。
-
自治医科大学紀要 38 79-84 2016年3月1999年より経皮内視鏡的胃瘻造設術(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy:PEG)を導入し、2015年3月現在で780症例のPEGを経験した。1999年〜2015年3月に施行されたPEG症例の診療録から、対象疾患・留置したPEGのタイプ・PEG後の早期合併症・造設後の転帰を調査した。対象疾患は悪性腫瘍・脳血管疾患・神経変性疾患が主であった。本学附属病院では当初Push法で導入したが、2007年にIntroducer変法を導入してから手技の移行が見られた。PEG後の早期合併症は出血性合併症と感染性合併症に分けられ、Push/Pull法で感染性合併症が有意に多く、Introducer法では出血性合併症が多い傾向であった。胃瘻造設後30日以内の死亡率は4.0%、経腸栄養目的のPEG症例の1年生存率は68.2%であった。本学附属病院の診療特性上、悪性腫瘍や神経変性疾患に対するPEGが多く見られた。摂食・嚥下障害に対するPEGのほか、悪性腫瘍の治療に伴い必要となる経腸栄養路の確保を目的とするPEGにも意義があると考えている。造設時の合併症率や造設後早期死亡の可能性について、インフォームドコンセントに際して十分に情報提供を行う必要があると考えられた。(著者抄録)
-
臨床外科 70(13) 1545-1549 2015年12月 査読有り筆頭著者スキルス胃癌は,内視鏡生検で癌を証明できず,診断に難渋することがある.症例は67歳,女性.内視鏡で,前庭部全周性に粘膜浮腫を認め強い狭搾を呈するが,ボーリングバイオプシーを含む多数の生検ですべて悪性所見はなかった.造影MRIにて前庭部壁肥厚がみられ,拡散強調画像で高信号を呈した.審査腹腔鏡で胃前庭部は著明な壁肥厚を認めた.腹腔鏡下に胃壁の針生検を行い,低分化腺癌の診断が得られ,胃全摘術を行った.摘出標本では粘膜面には癌の露出は認めなかった.内視鏡生検で診断が困難なスキルス胃癌に対して,MRIが補助診断として有効であり,腹腔鏡下胃壁生検で診断することができた.(著者抄録)
-
日本臨床外科学会雑誌 76(11) 2788-2793 2015年11月 査読有り症例は55歳,女性.受診前日に腹部を蹴られ,腹痛が出現した.翌日になっても改善しないため当院救急外来を受診した.腹部CT検査で胆嚢内に造影剤の漏出を認め,外傷性の胆嚢出血と診断した.胆嚢穿孔や他臓器損傷を認めなかったため,保存的治療を選択した.しかし,遅発性の胆嚢炎を発症し,入院後第6病日に開腹胆嚢摘出術を施行した.術後経過は良好で術後第6病日に退院した.腹部鈍的外傷による穿孔のない胆嚢出血は稀な病態であり報告例は稀である.報告例では,治療は多くの症例で手術が行われていたが,最近では保存的治療の報告も散見される.しかし,本症例のように血腫による遅発性胆嚢炎や胆道閉塞をきたす可能性があり,常に手術治療に移行できる準備をして経過観察することが必要である.胆嚢穿孔を伴わない鈍的外傷性胆嚢出血の1例を経験したので報告する.(著者抄録)
-
外科 77(9) 1073-1077 2015年9月 査読有り筆頭著者53歳女。13歳時に虫垂切除術の既往があった。今回、右下腹部痛が出現し、前医にて腹壁の肉芽腫性病変を伴う慢性炎症と診断され当院紹介となった。初診時、右下腹部の虫垂炎の手術瘢痕部に一致して、軽度の圧痛を有する5cm大の腫瘤を認め、腹部CTでは右腹直筋の外縁、内外腹斜筋、腹横筋の移行部に腫瘤を認めた。Schloffer腫瘍と診断して腹壁腫瘍切除術を施行し、腫瘤は3.5cmの膿瘍と肉芽組織を伴う瘢痕組織で、病理診断は縫合糸によるSchloffer腫瘍であった。術後経過は良好で、第12病日に退院となった。
-
高知医療センター医学雑誌 2(1) 35-40 2007年11月 査読有り筆頭著者症例は72歳の男性で主訴は嘔気。腹部超音波、CTで胆嚢結石と胆嚢に接する嚢胞状の病変を認めた。ERCP、MRCPでは嚢胞状の病変と総胆管の交通を認め、胆嚢結石および重複胆嚢と診断した。胆嚢管の走行および後区域胆管の走行がはっきりせず、開腹にて手術を行った。開腹すると胆嚢頸部に嚢胞性病変を認め、胆嚢とともに摘出した。嚢胞と胆嚢管は共通の胆嚢管を有していた。胆嚢、嚢胞ともに胆嚢粘膜と明瞭な固有筋層を有しており、病理学的に胆嚢の構造を呈していた。Boyden分類Y型、Gross分類A型の重複胆嚢と最終診断された。重複胆嚢は4000〜5000人に一人といわれており稀な疾患で、本邦では自験例を含め79例の報告があり、これらについて検討した。本症では、無症状の場合手術適応はないが、胆嚢結石、胆嚢炎を呈する場合、手術適応となる。(著者抄録)