松永 宏明, 小谷 和彦, 石橋 和久, 鯉渕 晴美, 中澤 晶子, 藤井 康友, 紺野 啓, 尾本 きよか, 山田 俊幸, 河野 幹彦, 谷口 信行
自治医科大学紀要 33 135-140 2011年3月1日 査読有り
背景 劇症1型糖尿病は,一見ありふれた主訴で受診することが多いが,放置すると数日で重篤な経過をたどるため,プライマリケアでの診断が特に重要である。今回われわれは専門性の高い医療設定とは限らない離島の医療機関を受診した劇症1型糖尿病の2症例を提示する。症例 症例1は49歳の男性で,腹痛が先行し,全身倦怠感を主訴に来院した。著明な高血糖ならびに尿糖,尿ケトン体を認めた。症例2は44歳の女性で,感冒様症状が先行し,口渇感と全身倦怠感を主訴に来院した。中等度の高血糖ならびに尿糖,尿ケトン体を認めた。いずれも後日,劇症1型糖尿病の診断基準を満たした。結語 劇症1型糖尿病を診断する上で,初期対応が重要である。一見common diseaseと思われても,口渇や全身倦怠感がみられた場合には,積極的に尿検査をすべきと思われた。特に,尿ケトン体の有無を確認することは有用である。