黒田 浩明, 吉田 英生, 松永 正訓, 幸地 克憲, 菱木 知郎, 斎藤 武, 山田 慎一, 照井 エレナ, 照井 慶太, 佐藤 嘉治, 大沼 直躬
日本腹部救急医学会雑誌 24(6) 1035-1039 2004年9月30日
小児において急性虫垂炎は代表的な腹部救急疾患である。しかし, その診断は必ずしも容易ではなく, 正確な術前病型診断を得るのは難しい。小児虫垂炎に対して, 術後病理診断をもとに術前超音波病型診断の有用性の検討を行った。手術を行った151症例中 (カタル性2例, 蜂窩織炎性66例, 壊疽性83例), 術前カタル性と診断された2症例は病理診断もカタル性で, 正診率は100%であった。壊疽性, 蜂窩織炎性いずれの正診率も約90%で, ともに比較的良好な正診率を得ているが, 約10%の症例で病型診断が異なっていた。蜂窩織炎性以上の術前病型診断で手術を行いカタル性であった症例は1例のみでカタル性に対しては, 正確な病型診断を下し, 無用な手術を避けるという意味では術前超音波診断は, 十分な診断率を有していた。また術前虫垂炎の診断で手術を行い, メッケル憩室の捻転であった症例も認められた。