幸地 克憲, 吉田 英生, 松永 正訓, 菱木 知郎, 山田 慎一, 佐藤 嘉治, 照井 慶太, 光永 哲也, 中田 光政, 大沼 直躬
日本小児外科学会雑誌 42(2) 263-269 2006年4月20日
直腸粘膜脱症候群(MPS)は血便を主訴とする疾患で,小児では比較的稀である.その成因として排便異常が関与しており,疾患概念を理解した上で正しい治療を行わないと,再発の可能性がある.今回我々は,小児MPS 2例を経験した.1例は,血便を主訴とした12歳男児で,前医より直腸ポリープとして紹介された.Defecographyでは,肛門挙筋群の運動機能低下を認めた.大腸鏡にて,下部直腸に全周性の隆起型病変を認め,超音波内視鏡所見を総合しMPSと診断した.経肛門的粘膜切除術を施行し,術後排便コントロールを行い,現在まで再発を認めていない.他の1例は,7歳男児で,overflow incontinenceの治療過程で直腸後壁に平坦型のMPS病変が発見された.血便を認めないため,治療は排便コントロールを施行中である.