小原 由紀子, 吉田 英生, 齋藤 武, 照井 慶太, 光永 哲也, 中田 光政, 照井 エレナ, 大野 幸恵, 三瀬 直子, 小林 真史
日小外会誌 52(7) 1299-1302 2016年
<p>高血圧と高カルシウム血症を呈し,oncologic emergency として緊急手術を必要とした間葉芽腎腫の1 例を経験した.症例は2 か月女児で,発熱,腹部腫瘤を主訴に当科を受診した.左腎上極に84×107×89 mm の巨大な腫瘤を認めた.血圧150/90 mmHg,血漿レニン活性≧20 ng/ml/hr,血清カルシウム14.8 mg/dl と高値を認めた.内科的治療を開始したが血圧がコントロールできず,第5 病日に左腎腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は間葉芽腎腫,富細胞型であり,ETV6-NTRK3 キメラ遺伝子陽性であった.術後は速やかに血圧と血清カルシウムは正常化した.後療法は行わず5 年間再発を認めていない.</p>