川口 雄之亮, 照井 慶太, 中田 光政, 小松 秀吾, 柴田 涼平, 吉澤 比呂子, 廣川 朋矢, 中谷 恵理香, 菱木 知郎
小児外科 54(3) 251-255 2022年3月
症例は34歳男性で、日齢2に腸回転異常症、中腸軸捻転の診断で手術を行い、日齢65の4回目手術で残存小腸は幽門輪から計14cm(回盲部温存)となった。新生児期から幼年期では短腸症候群(SBS)の栄養管理に難渋したが、在宅中心静脈栄養(HPN)を併用して社会生活が可能となった。少年期〜青年期では障害受容が進まず、無謀な中心静脈カテーテル離脱の試みや食生活を含めた生活全般の乱れによる思われるカテーテル関連合併症から頻回の入院を要し、本人の意向を尊重してHPNから離脱するも食生活と生活習慣の乱れは激化した。壮年期には乳酸アシドーシスや脱水症による入院が増えたが、結婚を契機に障害受容に至り、HPN再導入後は安定した管理が可能となった。本症例ではパートナーの存在とそのサポートの影響が極めて大きく、長期的な管理を要するSBS患者においては、社会的側面と障害受容の問題を念頭に置くことが重要と考えられた。