Hitoshi Sugawara
Japanese Journal of Electrocardiology 1992年 査読有り
肥大型心筋症(HCM)の不整脈発現に関与する因子を明らかにするため,HCM症例の ホルター心電図所見と心血行動態諸指標および心エコー所見との関連性について検討した. 対象はHCM症例40名で,説明変数として心血行動態指標13項目,心エコー所見4項目お よび心胸郭比を,目的変数として,(1)心房期外収縮数,(2)心室期外収縮数,(3)心室期外収 縮連発数,(4)心室頻拍数を用い,4個の目的変数別の重回帰分析と正準相関分析を行った. 個々の目的変数に強く関与する因子は,(1)では心室後壁厚,肺動脈収縮期圧,肺動脈楔入 圧,(2)では心室中隔壁厚,右室収縮期圧,平均肺動脈圧,心係数,(3)では肺動脈楔入圧, 心拍出量,左室拡張期圧,(4)では右室拡張末期圧,左室駆出率であった.以上より,HCM では不整脈と心血行動態の重相関関係は有意であること,不整脈の種類によって有意な偏 回帰係数を示す指標は異なることが示され,心血行動態因子が不整脈発現に関与する可能 性が示唆された.