基本情報
- 所属
- 自治医科大学 先端医療技術開発センター(医療技術トレーニングコア) 准教授
- 学位
- 医学博士(2016年12月 自治医科大学)
- J-GLOBAL ID
- 202001010409778935
- researchmap会員ID
- R000014641
研究分野
5受賞
2論文
301-
日本消化器外科学会雑誌 49(6) 563-568 2016年6月症例は49歳の女性で,1991年に胆嚢結石症に対して,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行された既往がある.2012年4月頃より,臍部創に有痛性の皮下腫瘤を自覚するようになった.悪性の可能性も否定できず,手術を勧めたが,月経困難症・子宮内膜症があり,本人の強い希望で,婦人科でホルモン治療を先行することになった.以後,臍部痛は改善したが,2014年9月より再び臍部痛を認めるようになり外来を再受診した.腫瘤は30mm大と増大傾向を示したため,2014年11月に全身麻酔下に腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は腹直筋前鞘や腹膜と接して存在していたため,一部を合併切除し,腹壁欠損に対して,メッシュを用いて修復術を施行した.病理組織学的所見は,子宮内膜症であった.創部に生じる腹壁子宮内膜症は,9割以上が婦人科領域の手術既往によるものであるが,本症例は腹腔鏡下胆嚢摘出術後の創部に発生した極めて稀有な症例であるため,報告した.(著者抄録)
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胆膵の病態生理 32(1) 35-37 2016年6月膵切除術を行った浸潤性膵管癌74例(男性46例、女性28例、平均66.6歳)を対象に、標記について検討した。膵体尾部癌は31例、膵頭部癌は43例で、臨床病期はStage Iが2例、Stage IIが8例、Stage IIIが40例、Stage IVaが24例であった。術後補助化学療法は50例に施行した。R0群の3年生存率は60.1%、R1群では41.0%であったが有意差は認められなかった。癌組織型では有意差はなく、T因子についてはT1〜T2群に対しT3〜T4群は有意に予後良好であった。リンパ節転移なし群に対し、あり群は有意に予後不良であった。多変量解析では、リンパ節転移の有無のみが独立した予後規定因子であった。リンパ節転移の有無(N)と癌遺残度(R)の検討では、R0N-群の3年生存率は85.8%、R0N+群では40.3%、R1N-群は50.0%、R1N+群は41.7%と、R0N-群で有意に予後良好であった。
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日本消化器外科学会雑誌 49(3) 250-257 2016年3月症例1は76歳の男性で,突然の下腹部痛と嘔気を主訴に救急搬送された.CTで右下腹部に腸管壁の造影不良な拡張した小腸ループと右陰嚢水腫を認め,絞扼性イレウス・右陰嚢水腫と診断し,緊急手術を行った.ヘルニア嚢は腹膜前腔に存在し右内鼠径輪で小腸が絞扼され鼠径ヘルニア偽還納と診断した.小腸部分切除とヘルニア門縫縮を行った.症例2は60歳の男性で,午前8時頃より腹痛,嘔吐があり,右鼠径部膨隆を自己還納したが症状軽快せず,午後4時救急搬送された.CTで右下腹部,鼠径部近傍に小腸ループを認め,右鼠径ヘルニア偽還納と診断し緊急手術を行った.右内鼠径輪で小腸が絞扼され,ヘルニア嚢は腹膜前腔に存在し鼠径ヘルニア偽還納と診断した.小腸を腹腔内に引き出し腹膜前腔にメッシュを留置しヘルニア修復を行った.鼠径部ヘルニア偽還納本邦報告例19例に自験例を含め報告する.(著者抄録)
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Japanese Journal of Gastroenterological Surgery 49(6) 563-568 2016年 査読有りThis case involved a 49-year-old woman who had undergone laparoscopic cholecystectomy in 1991 for cholecystolithiasis. Since April 2012, she had become aware of a painful subcutaneous mass at the umbilical port site. Surgery was recommended due to the possibility of malignancy. However, the patient had dysmenorrhea and endometriosis, and strongly wished to receive hormone therapy, which was performed in the gynecology department prior to any other procedures. Pain in the umbilical region subsequently improved, but recurred in September 2014 and she revisited the outpatient clinic. The mass had enlarged to around 30 mm, and the patient subsequently underwent mass excision under general anesthesia in November 2014. Since the mass was in contact with the anterior layer of the rectal sheath and the peritoneum, combined resection of a segment was performed and surgical repair using mesh was performed for the abdominal wall defect. Pathological findings indicated endometriosis. Although =90% of cases of abdominal wall endometriosis that occur at the site of a surgical scar are caused by previous gynecological surgery, we encountered an extremely rare case in which the patient developed this condition at the port site after laparoscopic cholecystectomy. We report herein our findings and observations.
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日本外科系連合学会誌 40(6) 1164-1169 2015年12月症例は58歳,男性.心窩部痛と褐色尿を主訴に来院.血液検査にて黄疸を認め,造影CTにて3管合流部近傍の結石による閉塞性黄疸が疑われ,精査目的のため入院となった.EUSの検査では3管合流部と思われる狭窄部に結石と腫瘍病変をうたがった.またERCPの直接造影では結石が強く疑われた.ERCP時の生検とENBDからの細胞診では悪性所見は認めなかった.術前に悪性疾患でないことを確認するため,SpyGlassを用いて3管合流部の観察を行ったところ,炎症によるベラークと合流部結石を認め,狙撃生検では悪性所見を認めなかった.以上より3管合流部結石の診断にて胆嚢摘出,総胆管切開切石術を行った.術後経過良好にて合併症なく退院となった.EUS・ERCPで悪性を否定できない症例に対して経口胆道鏡を用いた観察や生検が有用であると考えられた.(著者抄録)
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PANCREAS 44(8) 1398-1398 2015年11月
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日本コンピュータ外科学会誌 17(2) 73-81 2015年8月
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Progress of Digestive Endoscopy 86(1) 116,3-117,3 2015年6月50歳代女。夕食に鯛を摂取し、夜間に腹痛が出現したため当院を受診した。造影CTでは明らかな異常所見がなく、いったん帰宅したが、その後も症状が持続し、再診時のCTで魚骨による食道異物が判明したため、緊急入院となった。内視鏡検査で食道壁に刺入した魚骨を確認し、内視鏡摘出を試みるも困難であったが、1ヵ月後の内視鏡施行時に魚骨の摘出が可能であった。摘出後は出血や穿孔もなく、良好に経過している。
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Japanese journal of clinical oncology 45(3) 286-90 2015年3月Recently, bevacizumab has become a key drug for treatment of metastatic colorectal cancer. Molecularly targeted agents such as bevacizumab can cause life-threatening adverse effects, though they are generally considered less toxic than cytotoxic drugs. Here, we review the case of a 76-year-old male rectal cancer patient with liver metastasis who suffered extensive bowel necrosis after administration of 5-fluorouracil-based chemotherapy with bevacizumab, and required a subtotal colectomy and end-ileostomy. Microscopic findings revealed extensive mucosal necrosis in the resected colon specimen and necrosis at the muscularis propria of the descending colon. Pathological findings suggested that the mucosal damage induced by chemotherapy may be exacerbated by treatment with bevacizumab, resulting in extensive necrosis.
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日本外科系連合学会誌 40(1) 55-60 2015年2月患者は25年前胃癌で胃全摘,膵体尾部切除,脾摘出術を施行された62歳男性.腹痛で近医を受診,腹部CTで輸入脚の拡張を認めたため当科紹介受診.ダブルバルーン内視鏡,FDG-PETでの精査の結果,Y脚近傍に生じた悪性腫瘍による腸重積と診断した.また,ネフローゼ症候群と低栄養による著明な低蛋白血症も認められた.腸重積は内視鏡施行時に解除されたため,待機的手術とした.開腹時,腫瘍はTreitz靱帯から20cm遠位に存在し,腫瘍からY脚吻合部までの距離は30cmであった.腫瘍から10cmのマージンを確保し切除,linear staplerでfunctional end-to-end anastomosisを施行した.術後も著明な低蛋白血症は改善せず術後3ヵ月で前医転院となった.術後病理は小腸腺癌であった.胃全摘術後輸入脚に生じた小腸癌による腸重積という稀な病態は報告例がなく,文献的考察を加えて報告する.(著者抄録)
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胆道 28(5) 741-746 2014年12月厚生労働省難治性疾患克服研究事業難治性肝・胆道疾患調査研究班参加施設を対象に、1990-2009年の肝内結石症合併肝内胆管癌のProfile調査を行った。調査期間の肝内結石症症例は696例、肝内胆管癌合併症例は37例(5.3%)であった。癌合併症例の肝内結石症罹患期間は、従来から特徴的とされる肝内結石症罹患歴10年以上の症例が37%と最多であったが、肝内結石とほぼ同時に癌が発見された肝内結石症罹患歴0-6ヵ月の症例が36%とほぼ同数認められ、その頻度は2000年以降増加していた。肝内結石症に合併する肝内胆管癌の65%が腫瘤指摘により診断され、その治療成績は極めて不良であった。肝内胆管癌の診断は従来の直接造影法もしくは胆管内視鏡による細胞診・生検が主で、2000年以降臨床使用されているMRI-DWI、FDG-PETなどの新たな診断Modalityの実施頻度は低く、その評価は困難であった。今後さらに症例を集積し肝内胆管癌早期発見のための診断方法についての検討が必要である。(著者抄録)
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胆と膵 35(臨増特大) 1125-1129 2014年10月アルコール摂取(多飲)は急性膵炎、慢性膵炎の成因として最も頻度が高い。他の成因と異なり、アルコール性膵炎は断酒・禁煙で発症・進展の予防が可能で、生活指導が重要な疾患である。その一方で「アルコール性」を規定するエタノール摂取量の明確な基準はなく、その発症・進展の機序についても不明な点が多い。慢性膵炎臨床診断基準2009では慢性膵炎をアルコール性と非アルコール性に分類し、発症前、発症早期に治療介入ができるように慢性膵炎疑診、早期慢性膵炎の診断基準を設定した。急性膵炎でも高リスク群であるアルコール多飲者の実際の発症率は低率で、遺伝子異常(SPINK1、PRSS1など)など、他の要因が深く関与していることが想定されている。アルコール性急性膵炎、慢性膵炎の診断・治療は、他の成因によるものと大きく変わるところはなく、介入治療は改訂アトランタ分類2012による膵炎局所合併症の新分類に応じた適切な時期・手技で行うことが推奨される。(著者抄録)
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INTERNATIONAL SURGERY 99(4) 426-431 2014年7月 査読有りWe report a 71-year-old man who had undergone pylorus-preserving pancreatoduodenectomy (PPPD) using PPPD-IV reconstruction for cholangiocarcinoma. For 6 years thereafter, he had suffered recurrent cholangitis, and also a right liver abscess (S5/8), which required percutaneous drainage at 9 years after PPPD. At 16 years after PPPD, he had been admitted to the other hospital because of acute purulent cholangitis. Although medical treatment resolved the cholangitis, the patient was referred to our hospital because of dilatation of the intrahepatic biliary duct (B2). Peroral double-balloon enteroscopy revealed that the diameter of the hepaticojejunostomy anastomosis was 12 mm, and cholangiography detected intrahepatic stones. Lithotripsy was performed using a basket catheter. At 1 year after lithotripsy procedure, the patient is doing well. Hepatobiliary scintigraphy at 60 minutes after intravenous injection demonstrated that deposit of the tracer still remained in the upper afferent loop jejunum. Therefore, we considered that the recurrent cholangitis, liver abscess, and intrahepatic lithiasis have been caused by biliary stasis due to nonobstructive afferent loop syndrome. Biliary retention due to nonobstructive afferent loop syndrome may cause recurrent cholangitis or liver abscess after hepaticojejunostomy, and double-balloon enteroscopy and hepatobiliary scintigraphy are useful for the diagnosis of nonobstructive afferent loop syndrome.
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外科 76(7) 747-752 2014年7月胆道手術におけるドレーン挿入の功罪を臨床試験の結果から検討した.膿瘍・穿孔などの合併症がない胆嚢摘出術では,開腹・腹腔鏡下ともにドレーンの挿入は創感染,呼吸器感染といった術後の合併症を増やし,それに見合う利点がないとされる.胆道切開や胆管切除・吻合でも同様に,ドレーンの利点が乏しいという結果が得られている.ルーチンワークとして行われがちなドレーンの挿入であるが,evidence-based medicine(EBM)に基づき再考すべきである.(著者抄録)
MISC
63共同研究・競争的資金等の研究課題
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2022年4月 - 2025年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2018年4月 - 2020年3月