早坂 信哉, 石川 鎮清, 大中 俊宏, 大林 正博, 井出 雅弘, 坂本 敦司, 中村 好一, 梶井 英治
日本心身医学会雑誌 42:119-127(2) 119-127 2002年
自治医科大学健診センターの人間ドック受診者について, 通勤時間とBMI, 収縮期血圧, 拡張期血圧, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロール, 飲酒, 喫煙, および運動習慣の関連について検討した.BMI, 収縮期血圧, 拡張期血圧, 中性脂肪は対象者全体のANOVAによる単変量解析では通勤時間が長い群ほどその平均は高く, またHDLコレステロールでは低くなっていた.他の生活習慣を重回帰分析で補正すると通勤時間60分以上という因子は独立してBMIと正の関連があったが, 他の測定項目との間に有意な関連はなかった.対象者全体の飲酒者, 喫煙者, 男女それぞれの飲酒者の割合は通勤時間が増加するほど高くなっていた.男の運動をする者の割合は通勤時間が増加するほど低くなっていた.動脈硬化性疾患予防のためには, 通勤時間の長い者ヘはライフスタイルも含めて生活指導をする必要がある.