中野明, 星野敢, 川平洋, 首藤潔彦, 阿久津泰典, 松原久裕
日本臨床外科学会雑誌 72(10) 2530-2534 2011年10月25日
症例は75歳,男性.平成11年12月に腹部食道癌に対し他院にて食道亜全摘2領域郭清,胃管による胸骨後経路再建術を施行された.最終診断はAe(EG),28×28mm,3型,中分化型扁平上皮癌,pT3N1M0,ly2,v1,pIM0,pPM0,pDM0,fStageIIIであった.術後2年間テガフール・ウラシルを内服し,その後再発兆候なく経過していたが,平成21年5月に通過障害を自覚し,内視鏡検査で吻合部近傍胃管前壁に粘膜下腫瘍様隆起を認めた.生検の結果,扁平上皮癌の診断となった.精査加療目的にて当科紹介受診,同年7月に胃管全摘,胸骨後経路回結腸再建,空腸瘻造設術を施行した.標本上,吻合部直下に2.0×1.7cm大,0-III型の病変を認め,病理診断は初回手術時の標本と同様,中分化型扁平上皮癌であり,その組織像の類似性から既往の扁平上皮癌の再発と診断された.現在,再発巣切除後2年経過し,無再発生存中である.(著者抄録)