村越 道生, 吉田 尚弘, 橘内 葉子, 飯田 浩司, 熊野 峻, 鈴木 崇, 小林 俊光, 和田 仁
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 107(187) 19-24 2007年8月3日
前もって高温環境下で体温を上昇させること(ヒートストレス)により,音響外傷による聴力低下が抑制されることが報告されている.しかしこの内耳保護のメカニズムは不明である.そこで本研究では,マウスにヒートストレスを施し,その前後における内耳外有毛細胞の剛性および繊維状アクチン量の変化を原子間力顕微鏡および共焦点顕微鏡で計測した.その結果,ヒートストレスにより外有毛細胞のアクチン量が増加し,これに伴い細胞の剛性も増加することが分かった.この硬化現象が強大音暴露時の細胞の歪みを減少させ細胞破壊を抑止することにより,聴覚を強大音暴露から保護している可能性を明らかにした.