菅原 正, 仲澤 聖則, 大河原 清, 篠崎 健史
The Journal of JASTRO 8(4) 293-301 1996年
声門癌における治療期間が腫瘍制御に及ぼす影響とAccelerated hyperfractionation (AHF) の効果を確認する目的で, 1977年6月から14年間に根治照射を行なった声門癌患者101名[Conventional fractionation (CF) 58名, AHF43名] を対象としてRetrospective studyを行なった.これら患者の病期はI-II期が83%を占め, III期以上は少ない.T<SUB>1</SUB>+T<SUB>2</SUB>は92%であり, N0が91%を占める.照射は<SUP>60</SUP>C0左右文寸向2門によって, CFでは1.8-2.3Gy/F (5F/W), 50.6-78.2Gy/33-80日, AHFでは1.5Gy1F (10F/W), 52.2-62Gy/23-35日が照射された.57%の症例では治療前あるいは治療開始後早期にLaryngeal microsurgeryが行なわれた.Proportional hazards modelを用いて予後因子の影響を排除して検討をした結果, 腫瘍制御は短照射期間ほど向上することが認められた。照射期間延長に伴う制御率低下は0-8%/dayであった.Time-dependent LQ-modelによるBiologically equivalent doseの検討から照射期間中のAverage doubling timeは35日以下の短期間であることが示唆された.AHFはCFと比べて比較的強い早期粘膜反応を示したが, 晩発障害は認められず, 有意に良好な腫瘍制御を示すことが認められた.