圓谷 由紀子, 篠崎 健史, 古瀬 信, 酒井 修, 藤田 晃史, 高屋敷 典夫, 斉藤 建, 星野 雄一
臨床放射線 47(11) 1625-1628 2002年10月
29歳男.主訴は右後頸部腫瘤で,超音波下に細胞診を施行した.腫瘍は増大傾向で準広範切除術が行われた.腫瘍と共に癒着の強い右僧帽筋と頭板状筋の筋膜を摘出した.肉眼的所見では腫瘤は境界明瞭,分葉状の充実成分と多房性の嚢胞成分を持ち,内部には出血を認めた.組織学的所見では紡錘形細胞が束状に増殖し,渦巻状配列を呈していた.一部には微細な石灰化を認め,免疫組織学的検査では上皮系マーカーが陽性を示した為,滑膜肉腫と診断された.手術後1ヵ月おきに計6クールの化学療法が追加された.その後,約半年程経っているが局所再発及び転移性病変は認められていない