倉立 真志, 余喜多 史郎, 矢田 清吾, 宮内 隆行, 兼田 裕司, 山口 剛史
臨床外科 58(12) 1565-1568 2003年11月
65歳男.食欲不振を認め,上部消化管造影検査にて幽門狭窄を指摘された.入院時,右上腹部に鶏卵大の硬い腫瘤を触知した以外に異常はなく,CTにて前庭部胃壁の肥厚を認めたのみであった.入院3日目突然上腹部の激痛が出現し,筋性防御と腹部CTにて腹腔内遊離ガス像を認めたため消化管穿孔と診断して緊急手術を施行した.胃L領域に存在する腫瘤の前壁穿孔を確認,肉眼所見で胃癌と診断し,幽門側胃切除,D2郭清,胃空腸吻合を行った.摘出標本では2型腫瘤の前壁に穿孔があり,病理組織学的には低分化型腺癌が漿膜下層まで浸潤し,総合的にT2,N1,H0,P0,M0,StageIIIa,根治度Aであった.術後,MTX-5FU療法とUFT内服を行い,術後6年経過した現在も再発所見はない.進行性胃癌穿孔では予後不良例が多いが,長期生存を得るにはできる限り根治度B以上の一期的手術を行う必要があると思われた