森嶋 計, 俵藤 正信, 小泉 大, 笹沼 英紀, 仁平 芳人, 藤原 岳人, 佐久間 康成, 太田 真, 清水 敦, 佐田 尚宏, 安田 是和
肝臓 52(2) 126-130 2011年2月25日
症例は69歳,男性.CT,MRIで肝右葉に早期濃染される最大径15 cmの巨大腫瘍と外側区域と尾状葉に数個の小腫瘍を認め,PIVKAIIの高値と画像所見から肝細胞癌と診断した.総コレステロール855 mg/dl ,トリグリセリド753 mg/dl と著明な高脂血症も認めた.2年前の総コレステロールは250 mg/dl であった.胆汁うっ滞所見がなく,高脂血症の家族歴もなく,急激な上昇を認めていることから腫瘍随伴症候群による高脂血症と考えられた.右肝の主腫瘍切除後,総コレステロール・トリグリセリド値は急速に改善したが,術後早期に肝内再発をきたし,肝動脈化学塞栓療法を行うも著効なく,骨転移により急速な転帰をたどった.<br>