YAMAMOTO Chihiro, TSUKAHARA Tomonori, OHMINE Ken, TERUYA Takeshi, IDO Hiroyuki, UCHIBORI Ryosuke, URABE Masashi, MIZUKAMI Hiroaki, KUME Akihiro, NAKAMURA Masataka, OZAWA Keiya
自治医科大学紀要 36 23-31 2014年3月
CD28を含むCD19特異的第二世代キメラ抗原受容体( CD19-CAR)による養子免疫遺伝子療法はB細胞腫瘍に対する有望な治療法である。本研究において我々は,CD19-CARに加えIL-21を遺伝子導入したT細胞を作製し,CD19-CAR単独導入T細胞に比し抗腫瘍効果の増強が得られるかを検討した。まず健常者由来の末梢血リンパ球を活性化し,CD19-CAR+IL-21共発現またはCD19-CAR発現レトロウイルスベクターを用いて遺伝子導入した。導入遺伝子の発現はいずれも良好であった。両細胞は同様の増殖を示し,CD19-CAR+IL-21導入細胞でのみIL-21シグナリングの代替マーカーであるSTAT3のリン酸化を認めた。両細胞は表面マーカー上主にCentral memoryあるいはeffector memoryの形質を示し,CD19陽性B細胞株であるRajiに対して細胞傷害性を示し,CD19刺激によりIFN-γを産生した。Rag2-/-γc-/-免疫不全マウスを用いた動物実験では,両細胞はいずれもRajiの増殖を抑制した。IL-21は我々のBリンパ腫モデルでは抗腫瘍効果を修飾せず,CD19-CAR導入T細胞は単独で十分な抗腫瘍効果を発揮する可能性が示された。