基本情報
論文
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Endocrine journal 70(6) 573-579 2023年6月28日Vasoactive intestinal peptide-secreting tumors (VIPomas) are extremely rare functional pancreatic neuroendocrine neoplasms (p-NENs) characterized by watery diarrhea, hypokalemia, and achlorhydria. Here, we report the case of a 51-year-old female patient with VIPoma that recurred after a long-term disease-free interval. This patient had been asymptomatic for approximately 15 years after the initial curative surgery for pancreatic VIPoma, with no metastasis. The patient underwent a second curative surgery for the locally recurrent VIPoma. Whole-exome sequencing of the resected tumor revealed a somatic mutation in MEN1, which is reportedly responsible not only for multiple endocrine neoplasia type 1 (MEN1) syndrome but also sporadic p-NENs. Symptoms were controlled with lanreotide before and after surgery. The patient is alive with no relapse following 14 months after surgery. This case demonstrates the importance of long-term observation of patients with VIPoma.
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Journal of clinical lipidology 17(1) 78-86 2023年BACKGROUND: 25-hydroxycholesterol (25HC), produced by cholesterol 25-hydroxylase (CH25H) in macrophages, has been reported to inhibit the replication of viral pathogens such as severe acute respiratory syndrome coronavirus-2. Also, CH25H expression in macrophages is robustly induced by interferons (IFNs). OBJECTIVE: To better understand the serum level increase of 25HC in coronavirus disease 2019 (COVID-19) and how it relates to the clinical picture. METHODS: We measured the serum levels of 25HC and five other oxysterols in 17 hospitalized COVID-19 patients. RESULTS: On admission, 25HC and 27-hydroxycholesterol (27HC) serum levels were elevated; however, 7-ketocholesterol (7KC) levels were lower in patients with COVID-19 than in the healthy controls. There was no significant correlation between 25HC serum levels and disease severity markers, such as interferon-gamma (IFN-γ) and interleukin 6. Dexamethasone effectively suppressed cholesterol 25-hydroxylase (CH25H) mRNA expression in RAW 264.7 cells, a murine leukemia macrophage cell line, with or without lipopolysaccharide or IFNs; therefore, it might mitigate the increasing effects of COVID-19 on the serum levels of 25HC. CONCLUSIONS: Our results highlighted that 25HC could be used as a unique biomarker in severe COVID-19 and a potential therapeutic candidate for detecting the severity of COVID-19 and other infectious diseases.
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結核 93(8) 485-491 2018年8月[目的]本研究は病院・高齢者施設・事業所における職員接触者健診の範囲をより客観的かつ総合的に選定するための基礎資料を得ることを目的に自験例の感染リスクを後方視的に評価した。[対象と方法]対象は過去3年間に群馬県内2ヶ所の二次保健医療圏で発生した病院・高齢者施設・事業所10施設10事例とその職員接触者健診188例のうち感染リスク情報が明らかな140例。検討において、患者感染リスクとして画像所見・症状頻度・有症期間・喀痰塗抹所見・歩行自由度、接触者感染リスクとして接触期間・1回接触時間・総接触時間・接触空間・医療処置の有無・マスク着用の有無を調べ、これらリスクの程度から亜分類・スコアー化し、施設および職種別と各感染リスク別のQFT陽性率、重回帰分析でのQFT陽性の関連因子を検討した。[結果](1)事業所は他施設と比べて、また、一般人およびケアマネジャーは他職種と比べてQFT陽性率が有意に高く、一方で医療者にQFT陽性を認めなかった。(2)各感染リスクの中で、閉鎖空間での接触、1回30分以上の接触、患者歩行自由度、総接触時間の長さ、マスクの着用無しが、より関連の強いリスク因子と算出された。[結語]感染リスクのスコアー化や重み付けを考慮することで施設職員接触者健診の範囲を定量的に評価・選定できる可能性がある。(著者抄録)
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保健医療科学 66(4) 441-450 2017年8月目的:小児慢性特定疾病受給児(小慢受給児)の在宅療養における保健所支援が求められているが,保健所の役割は明らかでない.群馬県は小慢受給児の在宅療養に対する支援要望を明らかにするために,2014年度に家族に対するアンケート調査を行った.本研究ではこの結果を解析し,在宅療養支援における保健所の具体的な施策を検討する.方法:小児慢性特定疾病継続申請時の在宅療養アンケート(回答率97.7%)から,在宅療養における心配・日常生活の制限・在宅医療のいずれかを持つ場合を「問題有」とし,調査時年齢・受給開始年齢・受給開始から調査時までの経過年(経過年)・外来回数・受給理由疾患・保健所に対する支援希望有率・心配有率・問題有率・問題有率と心配有率の差異・心配あるいは問題の有無別支援希望の有無別割合・支援希望形態/内容の各項目について地域特性で分けた4地区間で比較検討し,各支援希望形態/内容と調査時年齢・受給開始年齢・経過年との関連を求め,さらに重回帰分析を用いて「心配有」・「問題有」・「支援希望有」に対する関連因子を検討した.結果:(1)支援希望有率は40%前後,心配あるいは問題が有るにもかかわらず支援希望の無い率は20〜30%であった.(2)心配有率は中核市に近接した小児医療のセンター機能が充実した地区(B地区)で高く(50.9%),工業が盛んな若年出産率の高い地区(D地区)で低かった(37.7%).(3)問題有率と心配有率の差異はB地区で低く(8.7%),D地区で高かった(17.1%).(4)支援希望は相談会,交流会,災害時支援,情報交換,就園/就学支援が多く,支援希望形態と内容に地域差を認め,問題有と無の群の支援希望を比べた場合に問題無群では交流会や情報交換が多い地域を認めた.(5)家庭訪問あるいは就園/就学希望は災害時の対応や相談会等と比べて有意に調査時年齢・受給開始年齢が低かった.(6)重回帰分析から,「心配有」あるいは「問題有」には在宅医療上の生活制限や疾患の重症度が関連し,「支援希望有」には医療上の問題とともに調査時年齢の低い場合が関連した.結論:小慢受給児家族の支援希望は半数以下で,心配や問題が有るにもかかわらず支援希望の無い家族がいることから,保健所支援に対する家族への理解不足が推測される.心配・問題・支援希望の有無の地域差には,地域の広さや交通の利便性などの地域特性,地域の小児医療レベル,分娩・出生状況,疾患に対する家族の理解度などが関連すると考えられる.また,心配・問題・支援希望には特に低年齢児における今後の子育てに対する不安が関連することも示唆される.今後の保健所の具体的施策として,家族に対する保健所支援制度の啓発と広報,年齢と地域特性を踏まえた支援,家族間の意見交換・情報交換などを主体とした交流会・相談会の開催,就園/就学支援を含めた子育て支援事業が重要と考えられる.(著者抄録)
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保健医療科学 65(6) 590-597 2016年12月【目的】本邦では女性の「やせ願望」が関与した低出生体重児の増加が見られ、低出生体重児はその後の生活習慣病発症リスクを持つ(以下DOHaD仮説)ことから、児の公衆衛生学的健康障害リスクの増加が危惧される。本研究では出生順位/母親年齢/妊娠前と分娩前後の母親体重及びその変化が児の低出生体重や早産などの公衆衛生学的健康障害リスクに影響するか否かを明らかにすることを目的とする。【方法】群馬県が1歳半健診で行った「母親への食に関するアンケート調査」を基に(n=4,478、回収率57.3%)、出生体重・在胎週数・出生順位・母親年齢・妊娠前と分娩前後の母親体重及びその変化・帝王切開分娩の有無・性別を調べ、出生体重/在胎週数/妊娠前と分娩前後の母親体重及びその変化に及ぼす出生/分娩要因の関連を重回帰分析(ステップワイズ増加法)で検討、帝王切開分娩と出生順位/母親年齢/妊娠前の母親体重間及び出生順位と母親年齢間との相関も検討した。【結果】(1)出生順位は第一子が半数を占め、母親年齢は30代前半が多く、帝王切開分娩は20%に認め、平均出生体重/在胎週数は各3,016g/38.8週であった。(2)妊娠前の母親体重/妊娠中の体重増加は各52kg/10.6kgであった。(3)低出生体重には低在胎週数(早産傾向)・分娩時の母親低体重・低出生順位(初産傾向)・女児・妊娠中の母親体重増加不良・帝王切開分娩に起こり易いことが算出された。(4)早産傾向には帝王切開分娩・妊娠中の母親体重増加不良・高出生順位(経産傾向)・男児に起こり易いことが算出された。(5)妊娠前の母親低体重には母親低年齢(若年出産)・初産傾向、分娩時の母親低体重には妊娠前の母親低体重・若年出産・初産傾向、妊娠中の母親体重増加不良には妊娠前の母親高体重・母親高年齢(高齢出産)・経産傾向、分娩後の母親低体重には妊娠前と分娩時の母親低体重・低出生体重、分娩前後の母親体重増加不良には経産傾向・分娩時の母親低体重・妊娠前の母親高体重・低出生体重に起こり易いことが算出された。(6)帝王切開分娩には高齢出産あるいは分娩前の母親高体重との間に有意な関連が算出された。(7)若年出産は初産が有意に多く、高齢出産は経産が有意に多かった。【結論】低出生体重あるいは早産(DOHaD仮説に基づく公衆衛生学的健康障害リスク)には、出生順位・妊娠分娩前後の母親体重やその変化から判断した母親の低体重志向・帝王切開分娩・性別の関連が推測される。また、経産傾向あるいは妊娠中の体重増加不良は高齢出産と相関・関連し、高齢出産には帝王切開分娩が多いことからも、公衆衛生学的健康障害リスクを持つ可能性も推測される。低出生体重や早産などの健康障害リスクの軽減には禁煙対策などの社会的側面からのアプローチとともに分娩/出生状況を踏まえた施策の展開、特に母親の「やせ願望」を考慮した妊娠前からの適切な栄養指導やDOHaD仮説による予防の啓発・教育をより積極的に行う必要がある(著者抄録)
MISC
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栃木県母性衛生学会雑誌: とちぼ (48) 32-34 2022年3月36歳。妊娠26週頃から目のかすみと視力低下を自覚し、近医眼科を受診したところ視野異常を指摘され、妊娠29週に当院眼科を紹介受診した。視野検査で両耳側半盲と診断された。頭蓋内病変評価のため頭部MRIを施行され、下垂体腫大(長径17.2mm)を認められた。妊娠中に高度の下垂体腫大を認めたことからリンパ球性下垂体炎の可能性が高いと判断され、治療と妊娠管理目的で当科に緊急入院となった。入院後ステロイド療法(PSL 50mg/dayから漸減)を開始し、3日目に目のかすみは消失し、6日目に施行したMRIで下垂体長径は11.5mmに縮小していた。視野障害も改善し、それに伴い視力も回復した。胎児の発育も順調で、PSLを15mg/dayまで漸減し、妊娠33週2日に退院とした。以後外来で経過観察し、症状の再燃は認めなかった。妊娠37週3日に選択的帝王切開で出産し、産後はPSLを10mg/dayに減量したが症状の再燃はなかった。産後1ヵ月時にMRIで下垂体を再評価したところ長径は10.5mmとほぼ正常大まで縮小していた。